働く広場2020年2月号
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働く広場 2020.2化した就労移行支援事業所を紹介し、数カ月間利用してもらいました。これがきっかけとなり、その後、この事業所を運営する『夢つむぎ株式会社』に在宅テレワークで働く正社員として採用されました。今後、こういった新しい就労のかたちが、さらに増えていくことが期待されます」 このように、通勤がむずかしい難病の方でも、在宅テレワークによって就労が可能になります。今後もこうした「新しい働き方」が普及することで、さまざまな難病の方たちの就労の可能性がさらに広がっていくことでしょう。うちに、就労意欲が徐々に湧き『仕事をしてみよう』という気持ちになったようです。彼女は元々教員免許を持っていたこともあり、現在は学童保育所で体調を確認しながら働いています」 また、河津さんが現在支援しているベーチェット病の山やま本もと大だい輔すけさん(40歳)の事例もお話しいただきました。 「山本さんは、障害のある方を支援する仕事を長くされていたのですが、数年前に突然発症しました。発症当初は病名がわからず、診断がつくまで4〜5カ月かかったそうです。山本さんは『血管型ベーチェット病』という病名で、血管に炎症が起こり収縮する症状容も異なるため、主治医からの情報を参考にできるとよいでしょう。 また「ベーチェット病」の人は、体調の変化が外から見えにくいため、症状に関して本人への確認が重要になります。症状悪化の兆しがあれば休息をとってもらい、受診しやすくすることが大切です。また、眼や皮膚の病変が生じることや休憩を要することについて、同じ職場の方たちの理解も不可欠です。視力低下が著しい場合は、支援機器の必要性や利用についての検討も重要になります。  免疫系難病の方の実際の就労状況について、今回のテーマの監修者である河津さんにうかがいました。 「全身性エリテマトーデス(40代女性)の方の事例ですが、症状が重いため、当初は就労をあきらめていたようです。しかし、ほかの難病の患者さんたちといろいろな話をして交流を深めたいという希望があり、北九州市主催の『難病カフェ』(難病のある方たちの交流会)を紹介しました。定期的に参加して、同年代の方たちと仕事についての話をするが生じ、両下肢は麻痺が残り、車いすが必要になりました。現在は休職中ですが、仕事を続けたい気持ちは強く、2020年5月からの復職に向けて準備を進めています。主治医と産業看護職の方、職場の人事の方、ご家族の協力も得て、具体的にどういった配慮が必要か検討しているところです」 免疫系の難病の場合、免疫抑制をうながす薬物を使用するため、感染症にかかりやすいというリスクがあります。そのため就労に際し人混みなどはできるだけ避ける必要があります。現在、新しい就労形態として注目されている「在宅テレワーク」は、感染症にかかるリスクを軽減できるという利点があります。河津さんは最後にさらに別の事例を紹介してくれました。 「自己免疫疾患の一つである、自己免疫性肝炎の安あん東どう果か琳りんさん(30代)は、就労移行支援事業所のサービスを利用し、数カ月間の訓練を受けていました。通常の通勤がむずかしいことや、安東さん自身が在宅テレワークに関心を持っていたこともあり、在宅テレワークに特免疫系の難病の方の就労や復職に向けた取組み在宅テレワークが就労の可能性を広げる在宅テレワークで就労している安東果琳さん(画面)。「夢つむぎ株式会社」職業指導員の久く留る嶋しま理り恵えさん(左)、生活支援員の丸まる下した和かず絵えさん(中央)と、モニターを通して連絡を取り合う現在、復職に向けて準備を行っている山本大輔さん17

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