働く広場2020年2月号
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えて「オフィスWorkサポート」と「農業事業」に取り組んだ。「障害者雇用は社会的責任であり、使命であると考えています。障害者雇用を永続させるためには、補助金目的ではなく、持続可能な業務に取り組まなければならないと考えています。農業への取組みはその一つで、埼玉県熊谷市に事務所を構え、農福連携企業や農業法人のみなさんの協力を得て、玉ねぎや白菜の路地栽培のほか、ハウス栽培での育いく苗びょう、オリーブ栽培などを行っています。また関連事業として、オリーブオイルなど、収穫したオリーブを活用した商品づくりやノベルティ商品づくりなどにも取り組んでいます。今年は、酒米づくりも始め、11月10日に稲刈りを一緒に行いました。農地は3年後には3ヘクタールまで広げたいと計画しています」と、代表取締役社長の南みなみ丈たけ裕ひろさんは話す。イーピービズでの障害者雇用の取組みや計画は、親会社であるEPSホールディングスの経営陣にも役員会で発表しており、社内向けのポータルサイトでは逐次紹介している。「今後は飲食店にも取り組みたい」とも話してくれた。今回は埼玉県熊谷市での「農業事業」の見学はできなかったが、「リラクゼーション」と「オフィスWorkサポート」 次に紹介するのが、特例子会社「株式会社イーピービズ」だ。親会社である「EPSホールディングス株式会社」は、1991年に臨床試験関連のソフトウェアの開発・販売を事業目的として設立され、医薬品・医療機器開発を幅広くサポートしている。11月取材時の社員数は約6千人、2年後には8千人になる見込みで、いまなお成長し続けている企業である。EPSホールディングスのグループ会社のなかには障害者雇用未達成企業もあり、ハローワークから数年間指導を受けていたが、EPSホールディングスとして総合的に障害者雇用に取り組む必要性を認識し、2018年10月に既存のグループ子会社であるイーピービズで特例子会社認定を受けた。EPSグループでは特例子会社設立以前から、全国の拠点やグループ会社各社で障害者雇用に取り組んでいた。その中心は、視覚障害者による社員向けのマッサージやオフィス内軽作業への配置だった。特例子会社の設立によって、社員は東京の各拠点やグループ会社から転籍し、一社で集中して取り組むこととなった。そこで、「リラクゼーション」の部門に加この10年間の取組みは親会社でも高く評価され、神原さんは親会社の役員に抜擢された。リンクラインの代表取締役は相棒の青野さんに譲り、自らは会長となった。親会社の役員会では、機会があるごとにリンクラインの業績を報告しているという。ハローワークからの指導がきっかけで設立した特例子会社が、いまでは重要なグループ会社の一つとなっていると感じた。 神原さん、青野さんは、いまをゴールととらえていないようだ。リンクラインで雇える社員にはかぎりがある。そのため、「もっといろいろな支援や働く場所が必要」と、就労移行支援事業所と就労継続支援B型事業も開始した。近い将来、社員の高齢化が課題になるのは明らかであり、「これからは、その課題に対応するためのグループホームも必要だ」と青野さんは語る。当初はご多忙ということで、面談および見学時間は1時間30分の予定であったが、結局4時間があっという間に過ぎていた。社員のみなさんの誇らしい笑顔の根源は、何事も楽しみに変えてしまう神原さんと青野さんのたゆまない努力と、お2人のパートナーシップによるように思う。これからのリンクライン特例子会社設立の経緯株式会社イーピービズリラクゼーション部門とオフィスWorkサポート部門働く広場 2020.2加熱された液体状の石鹸をシリコン型に流し込む固まった石鹸を慎重に型から外す23

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