働く広場2020年2月号
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働く広場 2020.2   大分県が事業費を負担する「おおいた障がい者芸術文化支援センター」が大分市にオープンした。創作や発表、鑑賞機会の提供を通じて、障害者の芸術文化活動の普及に向けた拠点づくりを目ざす。県内では「第18回全国障害者芸術・文化祭おおいた大会」を開催した成果を継承し、センターを整備してきた。障害のある人の芸術作品の展示会企画や活動支援に必要な知識を学ぶ講座の開催などを予定している。 東京五輪・パラリンピックのメインスタジアムとなる「新国立競技場」(新宿区)が完成した。障害者や子育て中の人たちの視点に立ったユニバーサルデザイン(UD)を目ざす工夫が施されている。 工事にあたり、障害者や子育てグループなど、計14団体とワークショップを開き、当事者の意見を聞いた。さまざまな利用者を想定した5種類の個室トイレや、知的・精神・発達障害の人が気持ちを落ち着かせるための休憩室「カームダウン・クールダウン」もつくられた。車いす用トイレのボタンの位置や視覚障害者に配慮した色、ひらがな表記など細かなニーズも反映した。  車いすのまま乗車できるユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)を巡り、障害者団体「DPI日本会議」(千代田区)は、国土交通省に顧   厚生労働省は、障害者の就職や就職後の職場定着をうながす情報共有ツール「就労パスポート」を作成した。雇用事業主や就労支援機関が、障害者の働くうえでの特徴やアピールポイント、希望する配慮などの情報を共有することで、障害者の望む働き方とのミスマッチを防ぐ。 パスポートの使い方を解説した手引きも「障害者向け」、「事業主向け」をつくり、パスポートの様式とともにホームページに掲載、自由にダウンロードして使える。障害種別は問わず、使用するかどうかは本人の自由としている。パスポートの記入項目は「職務経験」、「体調管理と希望する働き方」、「コミュニケーションの特徴」、「作業遂行面の特徴」に分け、選択肢のなかから自分に当てはまるものに印をつけるほか、自由記述もできる。  農林水産省は、農福連携推進の一環として農業分野において障害者が生産にたずさわった食品を日本農林規格(JAS)として認証する「ノウフクJAS」をスタートさせた。 登録認証機関「一般社団法人日本基金」(東京都)により第1号として4事業者が認証を受けた。「株式会社ウィズファーム」と「株式会社ひだまり」(いずれも長野県)はリンゴやリンゴジュースなどの生産加工、「山城就労支援事業所さんさん山城」(京都府)はお茶やえび芋などの生産加工、「特定非営利活動法人すまいる」(愛知県)はナスやオクラなどの生産を行っている。   障害者などの就労支援を話し合う東京都の有識者会議(座長・白しら木き三みつ秀ひで早稲田大学教授)は、就労がむずかしい人の雇用に積極的な企業「ソーシャルファーム」の認証を含めた企業への財政支援など、支援の方向性をまとめた報告書を小池百合子知事に提出。2019(令和元)年12月、都議会でソーシャルファームの認証制度の創設などを盛り込んだ条例が成立、施行された。 ソーシャルファームとは、企業活動をしながら障害者や生活困窮者などの就労支援に取り組む社会的企業を意味する。1970年代に誕生し、欧州を中心に浸透している。  静岡県は、障害者が制作したアート作品を企業や行政機関に有料で貸し出す「まちじゅうアート」をスタートさせた。レンタル料の一部を作者に還元し、障害者の社会参加促進や制作意欲の向上につなげる。事業は委託先の「特定非営利活動法人アートコネクトしずおか」(静岡市)が障害者アートの作品を募集・発掘するほか、企業などへの作品展示を働きかける。 レンタル料は、絵画1枚につき1カ月3千円(税込)、複製画は1カ月8千円(税込)に設定。作者の報酬は30%で、1枚ごとに毎月900円(複製画は2400円)が還元される。国の動き生活情報障害者雇用に「就労パスポート」厚生労働省タクシーでの車いす対応改善を国土交通省に要望東京障害者の芸術文化活動を支援大分障害者アートを企業に貸出し静岡地方の動きユニバーサルデザインの新国立競技場が完成東京「ソーシャルファーム」創設促進条例施行東京障害者が生産にたずさわった食品を認証する「ノウフクJAS」スタート農林水産省28

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