働く広場2020年2月号
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働く広場 2020.2 「機械CAD」では、スターリングエンジン(排ガスの出ないクリーンな外部燃焼式エンジン)の部品図と組立図、軸測投影法(※3)による組立図と立体分解図の作成が課題(3時間10分)。花はな田だ諒りょう太たさん(広島県)は職業訓練校在籍中に全国大会出場が決まり、その後、建機会社に就職。競技終了後は「課題が二つあることに気づかず失敗しました」と沈んだ表情だったが、上司は「社内でもCADを使いこなす期待の星。競技はパソコンの仕様が違い戸惑う面もあったが、再挑戦してほしい」と肩をたたいて励ましていた。この競技は5人が挑戦したが、入賞者はいなかった。 「建築CAD」の課題(3時間半)は、鉄筋コンクリート造3階建ての集合住宅の図面。東ひがし信のぶ彦ひこさん(熊本県)は会社で設備設計やソーラー機器の積算などのため建築CADを使っている。聴覚障害があり、試験に向けた準備は「妻のサポートなしにはできません」。隣で「今年こそ結果が出せるといいね」と発はっ破ぱをかける妻に「完璧を目ざしたい」と応じた東さんは、今回最上位となった銀賞を受賞した。●縫製/洋裁/家具/木工 「縫製」の課題(4時間以内)は、エプロン。裁断済みのパーツをミシンやアイロン、目打ちなどの道具を使って製作する。縫製の仕事にはアパレルのほか寝具、インテリア用品、自動車用シート製造などもあり選手たちも幅広く活躍している。 6時間以内にウールのオーバーブラウスをつくる「洋裁」には4人が参加。初出場の首しゅ藤とう悦えつ子こさん(大分県)は足に障害がある。ふだんは、デパートから洋服の補正業務などを請け負っているという。「私のように70歳を超えても現役で挑戦できることを示し、後輩たちにも続いてもらいたいですね」と話してくれた。 手工具を使いこなす技術が求められる「家具」の課題(5時間半)は花台。宮みや地ち美み月づきさん(愛知県)は、2016年の国際アビリンピックフランス大会にも出場した。ろう学校で家具づくりに出会い、老舗和菓子店で菓子職人として働きながら腕を磨いてきた。「菓子づくりも家具づくりも、細かい手先の技術が必要です」。結果は今回最上位となった銀賞受賞だった。 知的障害のある人が対象の「木工」の課題(5時間半)は、蓋ふた付つき木箱。大おお槻つき美み稀きさん(茨城県)は特別支援学校の木工コース3年時に全国大会初出場を果たした。就職したばかりの医薬品関連会社では、薬品の商品管理や棚卸しなどを担当している。学校で指導した先生は「道具の整理や作業の段取りなど、いまの仕事で活かされている部分も多い」と話す。「縫製」炭すみ田た大だい介すけさん(宮崎県)「機械CAD」花田諒太さん(広島県)「家具」で銀賞となった宮地美月さん(愛知県)「洋裁」首藤悦子さん(大分県)「建築CAD」東信彦さんは銀賞を受賞した(熊本県)「木工」大槻美稀さん(茨城県)※3 軸測投影法:傾斜させた状態の立体を正面から描く方法7

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