働く広場2020年3月号
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働く広場 2020.3を活かし、さまざまな仕事を発掘し獲得してくれます。一方で、障害のある社員たちの一生懸命で、心を込めた仕事ぶりも評価されてきました。こうした全員の働きのおかげで短期間のうちにここまで業務拡大も実現できたのかなと感じています」 社員同士による職場改善や仕事意識の向上も図っている。その一つが月に1回、昼食後の1時間を使って開催する「全員ミーティング」だ。業務の課題や改善案を出し合ったり、社員同士が理解し合えるようなワークショップを行ったりしている。その場で自分の障害特性や理解してほしいことなどを打ち明ける社員もいる。ある社員は、最近は業務ごとに分かれて行動することが多いため「ほかのチームがどんな仕事をしているのかを知り、日ごろあまり話さない人と交流できる機会にもなります」と話してくれた。一方、クリエでは職場の指導員たちとは異なる形で定着支援を行うため月に1回、外部から招いた産業カウンセラーとの面談を行っている。さらに入社後1年経った社員を対象に、障害者就業・生活支援センター、特別支援学校など社員が利用していた関係機関、社外カウンセラーを交えた4者で集まり、本人の成長や課題を確認して情報を共有している。開催を提案した業務グループマネージャーの山岸さんは、「特に特別支援学校を出て就職した社員は、1年後以降のフォローが課題でした。学校側の支援が1年間で一区切りされるため、その後の定着支援が途切れないよう障害者就業・生活支援センターの方にしっかり引き継いでもらうことが大事です。おかげで担当者のみなさんにはよく見てもらえていますね」と語る。 クリエは設立年に「大阪府障がい者サポートカンパニー優良企業」(※2)に認定され、3年目となる2019年9月には令和元年度の「大阪府ハートフル企業教育貢献賞」(※3)を受賞。また、2020年1月には、全重協の「令和元年度障害者活躍企業」(※4)に認証された。短期間のうちに実績が認められている印象だが、さらに事業拡大に向けた取組みが必要だと社長の松林さんは語る。クリエの拠点は高槻市だが、関東や名古屋市での拠点・事業所展開も考えている。「国内23社のグループ各社でも、それぞれ障害者雇用を進めていく必要性を感じています。各現場で、私たちクリエの持つ経験や工夫を活かしていきたい」と話す松林さんは、こうしたクリエの取組みの推進には、親会社の経営トップの姿勢が欠かせないとつけ加える。「周囲のいろいろな方々の協力や支援を受けながらきましたが、やはり取組みが順調である一番の要因は、J・フロントグループ各社が障害者雇用に対して温かくかかわってくれていることではないかと思っています。トップがしっかりと方針を示してくれたことで、グループ会社との会議の際も理解されやすい。これはとても大事なことですね」障害者雇用率のグループ適用は初年度はJ・フロントと大丸松坂屋百貨店、2年目からはグループ会社を少しずつ増やし、いまは9社となった。来年度は2社増やす予定だという。雇用率はいまのところ2・21%だが、グループとして2030年度には障害者雇用率3・0%達成を目ざし、それに向けた新たなプロジェクトも親会社とともに動き始めている。全員ミーティングや4者会議2030年度の目標は3・0%吉田悠太郎さんは、パソコンチームのリーダー役も務めている社内公募で指導員として出向している熊田幸裕さん(左)と金庫佐織さん(右)(写真提供:株式会社JFRクリエ)月一回行われる「全員ミーティング」では、職場改善などのアイデアを出し合う(写真提供:株式会社JFRクリエ)※4 障害者活躍企業:重度障害者を雇用する事業主の団体「公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会」が厚生労働省の委託を受け、障害特性に配慮した雇用管理や雇用形態の見直しなどの優れた取組みを実施し、障害者を多数雇用し、障害者が活躍している企業を認証するもの9

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