働く広場2020年3月号
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働く広場 2020.3 「若年性パーキンソン病」は、病気の進行にともない、手先を用いた細かい作業がむずかしくなったり、移動に困難をきたすこともあるため、業務内容の調整など個別の配慮が必要になります。服薬で症状を改善できる反面、薬効が切れると動けなくなるなど、症状が大きく変化します。また、疲れやすさ、眠気、抑うつ気分が生じる場合もあります。事業者側がこうした特徴を理解し、定期的に服薬や休憩ができるような勤務体制を整える必要があります。 また、「脊髄小脳変性症」は、歩行の際にふらついて転倒してしまうことがあるため、事業所の廊下やトイレなどに手すりを設置することで、リスクを軽減できます。病気が進行しても、コミュニケーションを取ることは十分に可能です。通勤混雑時を避けて時差通勤や在宅勤務を希望する方もいるので、事業所側の勤務体制の調整が望まれます。 振しん戦せん(ふるえ)、動作緩かん慢まん、姿勢保持障害(転びやすいこと)など、運動機能に関する症状が出る「パーキンソン病」のなかでも、40歳以下の方に発症する「若年性パーキンソン病」は、ゆっくりと進行する病気です。服薬により症状を消失させることができ、適切な治療によって長期にわたり通常と変わらない生活を送ることができます。服薬管理に加え睡眠、食事が日常生活で注意すべき基本となります。また、健康維持のために適度な運動が必須であるため、過度な運動制限は避けることが望ましいといえます。 「脊髄小脳変性症」は、脊髄や小脳の神経が変性する病気です。足の筋肉がつっぱるなどして起立や歩行が困難になり、手先の動きが低下して、活かつ舌ぜつも悪くなります。ほかには、めまいや血圧が変動して低血圧になることも症状として挙げられます。この病気も長い時間をかけて、ゆっくりと進行します。難病のある人と就労神経系の代表的な二つの難病二つの病気の配慮すべき点について最終回神経系の代表的な難病について 「難病のある人と就労」の最終回は、神経系の代表的な難病である「若年性パーキンソン病」と「脊せき髄ずい小しょう脳のう変へん性せい症しょう」について紹介します。また、この連載の監修者である河かわ津つ博ひろ美みさん(北九州市難病相談支援センター 難病支援担当・保健師)に、難病のある方との相談のポイントや、就労する際のポイントについてうかがいました。出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構障害者職業総合センター調査研究報告書No.103「難病のある人の雇用管理の課題と雇用支援のあり方に関する研究」(2011年)より抜粋• 専門的・技術的職業従事者(機械設計、看護師、税理士、教員)(28.1%)• 管理的職業従事者(代表取締役、事務所所長)(12.5%)• 一般事務従事者(人事事務、受付案内等)(12.5%)• パーソナルコンピュータ操作員(9.4%) • 運搬・清掃・包装等従事者(メール便配達、駅清掃等)(9.4%)• 様々な事務従事者(銀行店舗窓口、経理事務)(6.3%)• 専門的・技術的職業従事者(研究、特許文献サーチ、教員、司書)(24.0%) • 調理人(老人ホーム調理士、保育園調理士等)(20.0%)• 様々な事務従事者(冷暖房・換気量等計算、資材調達、データ入力)(12.0%)• 一般事務従事者(保育日誌、業者応対、OA 事務) (12.0%)• 生産工程従事者(機械加工品検査、チラシ看板作成)(12.0%)• 輸送・機械運転従事者(小型船舶エンジニア、工場動力設備管理)(8.0%)パーキンソン病 脊髄小脳変性症 図表 疾患別の現在就労している職種の具体例(疾患名別の中の割合)10

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