働く広場2020年3月号
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働く広場 2020.3「確認や話合いの機会はまだない」よりも有意に満足度が高い結果となりました。一方で「新たに確認や話合いの機会があった」と「確認や話合いの機会はまだない」の間には、有意な差は検出されませんでした。  この分析結果から、障害者と事業主の間で、職場で支障となっていることの確認や話合いの機会が継続してあることが相互理解をうながし、障害者にとってより満足できる仕事の実現に寄与したと考察するとともに、制度改正を受けて新たに話合いを開始して間もない段階では障害者と事業主の相互理解は醸成されにくいことが示唆され、今後、さらなる確認や話合いの機会を継続していくことが求められると考察しました。 「調査研究報告書№148」は、以上の分析結果の詳細、調査内容の第1期から第5期までの集計結果などを掲載しています。現在、本調査研究は第6期の調査の取りまとめを行っており、今後2回の調査が予定されています。引き続き、追加される調査結果を含めた分析により、仕事の満足度や状況の変化をとらえるとともに、影響する要因を含めた障害者のキャリア形成に関して研究を継続していきます。 また、本調査研究は、長期にわたる調査の共通の課題として、回を重ねるごとの回収率の低下があります。対象者の協力維持にかかるていねいな対応を継続して、今後の合理的配慮の取組み状況の変化に注視しつつ、キャリア形成に関する知見をさらに深めていきます。 合理的配慮等の指針についての労働者本人の認知度は、半数を超える方が指針に触れる機会があったようでしたが、約4割の方は知らないという結果でした(図1)。合理的配慮を職場で進めるためには、まず職場での支障の確認、そして話合いの機会を持つことが最初のステップとされています。話合いの有無については、4割の方に話合いの機会があった一方で、話合いの機会はまだないとの回答も約4割ありました(図2)。  本調査研究において「仕事満足度」は「就労を続けたいという気持ち」および「2年後の離職」に有意に関係しています。加えて「仕事満足度」の決定要因は、会社や職場の関係者へ自身の障害を説明している場合に「仕事満足度」が有意に高いこと、作業・通勤・コミュニケーション・勤務時間などの七つの項目において配慮を必要としている項目が多い人ほど「仕事満足度」が有意に低いこと、援助者がいなくなる出来事があった場合に「仕事満足度」が有意に低いことなどを確認できました。これは、職場において、周囲に対して自身の障害について説明すること、本人が必要と感じている配慮が行き届くこと、職場において援助者が不在とならないよう適切に引継ぎを行うことの重要性を示唆しています。 今回、上述の職場での支障の確認や話合いの機会と仕事の満足度の関係を分析したところ「仕事の内容」、「給料・待遇(労働条件)」、「職場の人間関係」、「職場の環境(施設整備等)」の四つの仕事の満足度すべてにおいて「今までと同様に確認や話合いの機会があった」場合は、※「調査研究報告書NO.148」は、http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/houkoku148.htmlよりダウンロードできます◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.or.jp)仕事の満足度との関係4まとめ529図1 差別禁止指針と合理的配慮指針の把握状況知らない40%聞いたことはあるが把握していない28%把握している29%無回答3%図2 職場での合理的配慮に関する話合いの機会の状況n=556n=556今まで同様に機会があった31%新たに機会があった9%機会はまだない37%よくわからない18%無回答5%

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