働く広場2020年3月号
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働く広場 2020.3築40年超のビルのフロアを改装。ハード面で工夫した点は、用途に合わせてパーティションの高さなどを変えたことだという。業務グループマネージャー兼社長スタッフを務める山やま岸ぎし卓たく也やさんが説明する。「メインルームは、ある程度の防音を保ちながら、部屋の外にいても互いに様子がわかるよう大きな窓をつくりました。パソコンの作業ルームの壁は、気持ちの集中を妨げず、そっと様子をうかがえる150㎝の高さになっています」始業時間に合わせ、次々に社員が出勤してきた。メインルームの一角にある個人ロッカーに荷物を入れたら、それぞれのテーブルで業務日誌を記入する。内容は就寝時間、起床時間、体調(4段階)、服薬状況などで、夕方には終業時の体調や担当した業務の感想などを書く。翌朝までに指導員からコメントが入るそうだ。定時チャイムを合図にラジオ体操からスタート。体がほぐれたところで社員の司会により朝礼が始まる。J・フロントのグループビジョンである「JFR Way」の5項目(※1)を全員で読みあげるのが日課だ。この後、オフィスサポートチームとパソコンチームに分かれて当日の仕事内容の確認をする。オフィスサポートチームは17人が在籍。この日の午前中は三つのグループに分かれて仕事が始まった。まず「連絡便・郵便物仕分け」グループの業務を見学させてもらった。従業員通用口の近くにある小部屋には、80超の仕分けボックスが棚状に並ぶ。札幌から博多まで散在するグループ会社・店舗との間で毎日発着する連絡便が大量に届くという。誤配のないよう2人ペアで封筒に書かれている宛先を示す数字を読み合わせながら各ボックスに分け入れる。互いに声をかけ合いながら、和気あいあいと業務に取り組んでいる様子が印象的だ。設立時に入社した峰みね美み穂ほさん(36歳)は、いまでは現場のメンバーを育てる指導的な立場。「シフト勤務なので、私が休みの日でもしっかり業務を任せられるようにしたいです」と話す。業務を行いやすいようボックスの並び順の変更を提案するなど、積極的に職場改善も図ってきた。入社翌年には地方アビリンピック大阪大会で、「オフィスアシスタント」種目に挑戦し銀賞を受賞したが、「上には上がいるんだなと実感しました。いつか全国大会に出場したいです」。さらに「できれば、パソコン操作も習得していけたらいいなと思っています」と意欲をのぞかせた。クリエでは、設立翌年の2018年からアビリンピックに挑戦している。最初は「オフィスアシスタント」種目で地方大会に出場し、金賞1人・銀賞2人、昨年は「パソコンデータ入力」種目も含め2種目で3人が銀賞を受賞した。いまも、全国大会出場を目ざして挑戦を続けている。 メインルームでは、クリエの主力業務である「リボン製作」が行われていた。大丸・松坂屋の店頭で贈答用の包装に使われるリボンだ。色や太さによって10種類ほどの組合せがある。見本の台紙など百貨店で使うリボンの仕様統一を提案し実現業務グループマネージャーで障害者職業生活相談員の山岸卓也さんメインルームの大きなガラス窓は、防音性を保ちつつ視界を確保している作業ルームの壁は、作業への集中を阻害せずに様子がうかがえる高さとなっている仕分け作業は誤配を防ぐため2人ペアで行われる※1 「未来を創ろう!」、「失敗を恐れず挑戦しよう!」、「新しい発想を取り入れよう!」、「自分で考えて行動しよう!」、「良識を持ち、誠実でいよう!」6

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