働く広場2020年3月号
9/36

働く広場 2020.3に合わせてカット部分の形や曲げ具合をきれいにそろえる。毎日コツコツと作業し、生産本数は月2万本にもなるそうだ。「最初のころは苦労もあった」と、山岸さんが話す。「もともと各店舗によってリボンの形や長さなどがバラバラで、作業にはとても手間ひまがかかっていました。そこで峰さんが奮起し、大丸松坂屋百貨店の定例会議に出席し、仕様統一を提案するプレゼンテーションを行ったのです。その場で『たしかにそうだ』と経営幹部に了承してもらい、作業効率がぐっと上がりました」手際よくリボン製作をしていた矢や野の静しず佳かさん(31歳)は、2019(令和元)年6月に入社した。以前は手芸店で働いていたが、病気で高次脳機能障害が残り退職したという。就労移行支援事業所の紹介でクリエに入社する際は「大きな音が苦手」と伝え、印刷業務を外してもらったそうだ。障害の影響で記憶力や注意力が低下したため、連絡便の仕分けリストやマニュアルがどうしても覚えられず悔しい思いをすることもあるが、「2人ペアなので助かっています。迷惑にならないように上達を目ざしています」と話す。勤務中は1時間に1回10分間の休憩が貴重だという。「いまは休憩時間に定着支援を受けている事業所に見せる記録を書いています。気分転換になるので、この10分があるとないとでは大違いです」矢野さんは昨年、当機構主催の「障害者雇用支援月間ポスター原画コンテスト」で理事長奨励賞を受賞した。絵が上手だということを知っていた山岸さんらに背中を押され、職場でみんながリボン製作に取り組む様子を「幸せ運ぶリボン作り」と題して描いた。「クリエの職場を紹介でき、受賞もできて、うれしかったです」と照れながら語ってくれた。メインルームの隣にある印刷機などが置かれた小部屋に行くと、見たことのない小さな機械で何かが印字されていた。「値札作成業務」だ。毎日のように各店舗から専用システムを通じて注文が入り、数十枚から数百枚といった単位で値札を作成、翌日には店舗に届けられる。多いときは月50万枚にものぼる。「昨年の春に始めたばかりの業務です。各店舗のバックヤードで作業していたものを一手に引き受けようと親会社に提案し、請け負うことになりました」と話すのは、営業グループマネージャーを務める森もり野の広ひろ昭あきさんだ。「細かい業務を見つけては関係部署に仕分け作業を行う峰美穂さん。地方アビリンピックにも挑戦している2018年に大阪府の地方アビリンピックに挑戦したメンバー(写真提供:株式会社JFRクリエ)クリエで製作されたリボンが、大丸・松坂屋の各店舗で使用されているリボンをつくる矢野静佳さん。伝票整理なども担当している2019年の障害者雇用支援月間ポスター原画コンテストで受賞した矢野さんの作品「幸せ運ぶリボン作り」タグ・ラベルプリンタとパソコンを使って値札を出力する7

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る