働く広場2020年4月号
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働く広場 2020.4の達成度が入札や取引に影響を与え得る社会的な流れが広がりつつあるといえるでしょう。 ケース1 相談者:自治体からの委託業務を中心に清掃請負業務を行う中小企業の営業部長および次長相談内容:かつて契約していた自治体からの清掃請負業務について、﹁障害者雇用率が未達成﹂であるために落札できなかった。障害者雇用についてはそれまで納付金を納めていればよいという方針だった。しかし、﹁公共の仕事がなくなればわが社は潰つぶれる﹂との考えから、社長の指示で即座に障害者雇用を進めることになった。 ケース2 相談者:大手ゼネコン企業相談内容:市民病院の保守管理業務の入札において、﹁価格点﹂、﹁技術点﹂のほか﹁社会貢献点﹂が設定されていた。当社は障害者雇用が進んでおらず、﹁社会貢献点﹂で大差をつけられ落札できなかった。 ケース3 相談者:従業員100人規模の中小企業相談内容:これまで障害者雇用は進めていなかったが、仕事の下請けをしていた大手企業担当者から﹁当社の上層部の方針で、障害者雇用をしていない企業とは契約しない方針となった﹂といわれた。早急に障害者雇用を進めたい。障害のある人が働いている姿がイメージできません。A 百聞は一見に如しかず。まずは障害者雇用事業所や特別支援学校を見学してみては。 障害者や障害者雇用にまったくかかわったことのない場合、障害者の具体的な就労スキルがほとんどわからず、現実よりもはるかに能力的に低い状態をイメージされていることもあります。「どのように接したらよいか」、「コミュニケーションが取れるのか」といったご相談も多くあります。 まずは、特別支援学校や、すでに障害者を雇用している事業所を見学してみてはいかがでしょうか。実際に働いている姿を見たり、意見交換をするなかで、具体的なイメージを持つこ障害者雇用に関する理念︵共生社会の実現、企業の社会的責任、ダイバーシティの実現︶の話はよく聞きます。しかし、本気で障害者雇用を進めようと思えません。A 事業主には障害者雇用の義務があるのはご存知かと思います。また、公共性の高い事業や取引先の方針で、障害者雇用の有無が問われつつあります。 「障害者の雇用の促進等に関する法律」では、「障害者雇用率制度」を定めており、民間の事業主に対して常時雇用している労働者の2・2%以上の障害者を雇用することを義務づけています。事業主間の障害者雇用にともなう経済的負担の調整を図るため、法定雇用率未達成の事業主は、障害者雇用納付金(※1)の納付が必要となります。 また、当機構へのご相談のなかには、「公共性の高い事業の入札などにおいて障害者雇用の有無を問われ、雇用の必要性に迫られている」という企業の方もいらっしゃいます。障害者雇用※1 障害者雇用納付金: 常時雇用している労働者数が100人を超える障害者法定雇用率(2.2%)未達成の事業主は、法定雇用障害者数に不足する障害者数に 応じて1人につき月額5万円の障害者雇用納付金を納付しなければならないこととされています。詳細は「JEEDインフォメーション」 (12ページ)をご覧ください第1回はじめての障害者雇用 今号から始まる連載では、これから障害者雇用に取り組もうと考えている事業主(担当者)のみなさんへの入門企画として、必要な準備や具体的なアプローチ法、おさえるべきポイントなどを、当機構「中央障害者雇用情報センター」への取材をもとに解説します。実際に寄せられた相談内容を元にしたQ&Aとともに、雇用主を支援する関係機関や制度、役立つ情報も紹介していきます。(協力)中央障害者雇用情報センター     障害者雇用支援ネットワークコーディネーター 礒邉豊司さん、内田博之さんクローズアップAA※これまで連載していた「NOTE」のコーナーは、内容を充実させ、今号より「クローズアップ」というコーナーにリニューアルしましたQ 1Q 210

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