働く広場2020年4月号
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て、同社の代表取締役社長である小お形がた秀ひで夫おさん、管理部長の川かわ田だ直なお幸ゆきさん、川崎事業所業務課長の金かね田だ豊とよ子こさんにお話をうかがうことができました。  同社で、障がい者雇用に取り組み始めた当初から指導員としてかかわってこられた金田さんによれば、設立から10年を経たころから、知的障がいのある人の加生活を通し継続して学習することで、内容の理解が進み、効果が得られると期待しています。さらに、睡眠や食事の内容などを記入する﹁生活ノート﹂を毎日提出してもらい、健康状態をチェックするとともに、体重・血圧の測定も毎週定期的に行っています。それによって、体重の増加などが観察されて生活の改善が必要な人は、本人の到達目標を明確に認識してもらうなど、障がいのある社員の健康管理に対する意識づけを図っています。また、個人データの継続的な蓄積によって、加齢による能力の変化を早期に把握するようにしています。 富士電機フロンティアでの、加齢に対処し雇用を継続するための取組みは、﹁指導員の獲得と力量﹂、﹁親会社との緊密な関係の維持﹂、﹁能力開発と社内外の技能検定﹂、﹁配置転換と工程改善﹂が、相互に密接に関連しながら機能していることがわかりました。 社長の小形さんによれば、障がいのある社員以外のスタッフは、労務管理・渉外・相談業務のほか、現場で実際に業務指導と生活指導を担当しているそうです。齢にともなう作業遂行能力の低下が問題視され始めたということです。例えば、30代で中途採用したダウン症の方の場合、本人自身の働きたいという強い要望を受けて採用したのですが、入社当初から徐々に体力的な低下が見られたということでした。そのため、体力・筋力の維持と回復運動を取り入れ始めたのが、加齢問題に対する最初の取組みだということです。知的障がいのある人は一般的に、体力・知力の加齢による低下が健常者よりも早く表れ、また、表現の稚ち拙せつさもあって、その兆候の発見が遅れがちであるといわれます。そのため、疾病の発見や健康管理に関しては、本人を支援するさまざまな関係者の注意や観察がたいへん重要となり、家族や支援者の日常的な経過観察が大切になります。同時に、事業所が、障がいのある社員の能力維持につながる活動に取り組んで、定年まで働き続けられるように支援することも重要です。川田さんによれば、同社では、全員参加による筋力トレーニングやラジオ体操を続けており、﹁毎日のていねいな運動の継続こそ、障害のある社員の基礎体力面の維持には必要不可欠﹂ということです。また、思考面の活性化や維持を図る活動として、毎日、簡単な計算問題や、漢字の書き取り、家計簿の記録なども継続して実施しています。就職後の長い職業  早期老化への予防と対策雇用継続に向けた雇用管理(1)指導員の獲得と力量働く広場 2020.4体力づくりの一環として、毎朝、全員参加で体操を行っている(写真提供:株式会社富士電機フロンティア)22

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