働く広場2020年4月号
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働く広場 2020.419971998199920002001200220032004200520062007200820092010201120122013201420152016省 庁就労支援機器には、モーターの駆動力により日常生活や作業を支援する自律支援用機器があります。特許庁は、平成30年度に、このような自律支援用機器を含むパワーアシストスーツ全般の特許出願動向を調査しました。本稿では、「平成30年度特許出願技術動向調査―パワーアシストスーツ―」の調査報告書から、まずはじめに、用途(「リハビリ」など)、アシスト対象動作(「歩行」など)、アシスト対象部位(「下半身」など)に焦点を当てて、特許出願(※1)の動向を紹介します。 用途別に見ると、「リハビリ」、「自律支援」を用途にした技術の出願件数はともに増加傾向にあります(※2)(図1)。また、アシスト対象動作別に見ると、「歩行」をアシスト対象にした技術が最も大きく出願件数を伸ばしており、「立つ」、「持ち上げ」も同様の傾向にあります(図1)。アシスト対象部位別に見ると、「下半身」、「上半身」をアシスト対象にした技術はともに出願件数が増加しており、また「下半身」の伸び率がより大きいことを考えると、今後も「歩行」や「立つ」といった動作のアシストを目的とした技術の出願件数の増加が予測されます。次に、自律支援機器を含むパワーアシストスーツの初期段階の普及にあたっては、低コスト化に注力することが重要です。そこで「コスト低減」に関する技術の出願件数を見ると、いまだ出願件数は多くはありませんが、日本国籍の出願人による出願件数が72件と全体の32・6%を占め、国別で見ると最も出願件数が多いことがわかります(図2)。図1 用途(リハビリ、自律支援)、アシストする動作(歩行、立つ、持ち上げ)、アシスト対象部位(下半身、上半身)の特許出願件数推移(1997-2016年)図2 「コスト低減」の出願人国籍別の出願件数(1997-2016年)パワーアシストスーツの普及拡大が期待されます 特許庁総務部企画調査課アシスト対象部位(下半身・上半身)の出願件数アシスト対象部位(下半身・上半身)以外の出願件数500450400350300250200150100500300250200150100500下半身(左軸)上半身(左軸)リハビリ(右軸)自律支援(右軸)歩行(右軸)立つ(右軸)持ち上げ(右軸)日本国籍、72件32.6%中国籍、58件26.2%韓国籍、42件19.0%米国籍、23件10.4%欧州国籍、20件 9.0%その他国籍、6件 2.7%※1 今回の寄稿では、特許出願の件数について共通の優先権を持つパテントファミリーを1件とカウントし、また、出願年は優先権主張年をベースにして計上しています。※2 各図は、特許庁「平成30年度特許出願技術動向調査―パワーアシストスーツ―」に基づいて作成しています。また、2015年以降はデータベースの収録遅れ、PCT出願の各国移行のずれなどで全データを反映していない可能性があります。特許庁※「霞が関だより」のコーナーは、今号より「省庁だより」と名称を変更しました26

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