働く広場2020年4月号
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働く広場 2020.4新たな技術が活用された「障害者就労支援機器」1 肢し体たい不自由者・ 難病患者向け支援機器 車いす製造を行う「有限会社さいとう工房」は、屋内・屋外で使用できる多機能電動車いす「レル・シリーズ」を開発しました。この「レル・シリーズ」は、屋外などの不整地でも常に中輪駆動の6輪が地面に接地する特許技術の「CW機構」と、後輪キャスターを後方に伸ばすことで安定した姿勢を保ち、段差を越えるときに有利な特許技術の「REL機構」、段差での衝撃を吸収し、段差に車輪が斜めに進入しても車輪が横向きになりにくい「HBキャスター」を採用することで、走行時に高い安定性を維持し、さまざまな場所への移動がしやすくなります。 2 喉こう頭とう摘出者向け支援機器「株式会社電制」が開発した電気式人工喉頭「ユアトーン」は、喉頭がんなどの治療による声帯の摘出や、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、筋ジストロフィーなどにより声が出せなくなった方の発声を補助する器具で、口と舌を動かすことにより話すことができます。 同社は、音声に人の声のように細かな変化を起こし、より自然に聞こえる「ゆらぎ」をつける技術と、同音異義語の区別や語尾の疑問形が表現できる「高低(抑揚)」をつける技術で特許を取得しました。これらの技術で、コミュニケーションの精度をより高めることができます。現在、標準型の「ユアトーン」には「ゆらぎ」をつける技術を採用。高性能型には、音声に「ゆらぎ」と「高低(抑揚)」の両方をつける技術を採用しています。 3 聴覚障害者向け支援機器「ディー・シー・シー株式会社」は、聴覚器官の最終段階の部分、耳の奥にあるラセン神経節細胞に直接作用して、聞こえを補助する技術を使った「プレスティン・Uユー」を開発・製造しています。この機器は、高度難聴の6割の方に有効と評価されています(東京大学名誉教授、日本耳科学会元理事長、加か我が君きみ孝たか氏による評価)。現在、「プレスティン・U」は、高度難聴対応の支援機器として商標登録されています。また「プレスティン・U」をベースに、就労中など長時間使用しても疲れない、新たな支援機器の製品化が進められています。 障害者が生活をするうえで、就労支援機器は欠かせない存在です。それらには新しい技術やユニバーサルデザインがとり入れられています。ここでは、そうした支援機器の事例をご紹介します。 多機能電動車いす「レル・シリーズ」※写真はリクライニング状態です詳しくはホームページをご覧くださいhttp://www.saitokobo.com/詳しくはホームページをご覧くださいhttps://dencom.co.jp/詳しくはホームページをご覧くださいhttps://www.prestin.jp/電気式人工喉頭「ユアトーン」高度難聴対応のヒアリング・デバイス「プレスティン・U」補足資料(編集部)27

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