働く広場2020年4月号
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働く広場 2020.4模が小さい企業にも伝わるような方法で周知し、認知度を高める取組みが求められるでしょう。  法改正をふまえた対応︵行動︶については、 情報収集や社内点検、責任者の周知、社会保険労務士等への相談などの対応を行った企業の割合は、大企業の8割が差別禁止や合理的配慮について、何らかの対応を行っているものの、企業規模が小さくなるほど、対応割合が低いという結果でした(図)。制度改正を認知していながら、特に対応を行っていない企業のなかには、内容を十分に理解できていない企業もあるものと思われます。  ヒアリングのなかでは、法定雇用率の見直しについては、これまでの経緯のなかで、当然実施されるものと認識されていました。法定雇用率未達成企業では、障害者雇用の実現に向けて、特例子会社の設立や人事担当部署の新設による雇用管理体制の充実、障害者雇用を進めるための管理職アンケートの実施に着手する企業などがありました。  差別禁止・合理的配慮については、ヒアリン 2013︵平成25︶年の障害者雇用促進法の改正により、事業主に対し、雇用における障害者差別の禁止および合理的配慮の提供が義務づけられました。さらに法定雇用率の算定基礎に精神障害者が加えられ、法定雇用率も引き上げられることとなり、企業は対応を迫られました。このような障害者雇用制度の改正が、企業においてどのように意識され、障害者雇用に関する行動にどのような影響をおよぼすかを明らかにし、有効な企業支援のあり方を探るために﹁障害者雇用制度の改正等に伴う企業意識・行動の変化に関する研究﹂を実施しました。  本研究では企業へのアンケート調査︵電話・質問紙︶およびヒアリング調査を行い、障害者雇用の現状、法改正︵差別禁止、合理的配慮、法定雇用率見直しなど︶の認知状況、法改正への対応、支援機関等の活用、本社と事業所の役割分担などについてたずねました。   法改正の認知︵企業の意識︶については、企業規模が大きいほど、﹁よく知っている﹂企業の割合が高くなっていました。法定雇用率の見直し後の障害者雇用方針についても、大企業ほど積極的に雇用を進める方針であることが示されました。しかし、規模の小さい企業では認知度が低く、小規模企業や障害者雇用経験のない企業が障害者雇用を推進していくためには、これらの企業が幅広く情報と接する機会を設け、支援機関による、より積極的な支援を行っていくことが重要であることが示唆されました。  合理的配慮については、企業の約半数が﹁知らなかった﹂という結果でした。特に小規模企業ではほかの企業規模より大きく下回っていることも着目すべき点としてあげられます。規模が小さい企業は障害者を雇用している企業の割合も低い傾向にあることから、障害者雇用そのものへの関心が薄い企業も多いと考えられ、規障害者雇用制度の改正等に伴う企業意識・行動の変化に関する研究障害者職業総合センター研究部門 事業主支援部門はじめに1調査の結果と考察228

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