働く広場2020年4月号
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働く広場 2020.4法人向けのオフィス情報化支援事業を手がける「ラディックス株式会社」(以下、「ラディックス」)は、2008(平成20)年に特例子会社「リベラル株式会社」(以下、「リベラル」)を設立した。7人(うち障害のある人は5人)からスタートしたリベラルの従業員は、いまでは35人。そのうち障害のある人が26人(知的障害20人、精神障害4人、身体障害2人)で、グループ全体の障害者雇用率は3・49%(2019︿令和元﹀年6月1日現在)になる。2017年に「東京都障害者雇用エクセレントカンパニー賞」を受賞、2019年には厚生労働省「働きやすく生産性の高い企業・職場表彰 キラリと光る取り組み賞」を受賞した。「実は会社設立のきっかけは、ハローワークからの『勧告』でした」ラディックスの人事総務部からリベラルに転籍し、クラフトマンシップ事業部管理課の課長を務める佐さ久く間ま賢けんさんが経緯を説明してくれた。ラディックスが従業員300人を超えた2004年ごろ、ハローワークの障害者雇用担当者がラディックスの人事総務部を訪れた。当時の法定雇用率1・8%を達成できていなかったラディックスに対し、納付金を納める必要があることを説明されたという。すぐに佐久間さんたちは民間の求人情報サイトに広告を出し、3人(身体障害2人、精神障害1人)を直接雇用したが、職場になじめず定着できなかった。そして雇用率0・5%となった2005年、ハローワークから「障害者雇い入れ計画作成命令」が出た。計画作成はしたものの数字はクリアできず、2007年10月にハローワークから呼び出しを受けた。佐久間さんと人事本部長、人事総務部長の3人が出向き、そこで勧告書を手渡され「このままでは社名を公表することになります」といわれたという。ラディックス社内での直接雇用が行き詰まっていた状況から、特例子会社設立の検討がなされた。当時の従業員は約600人に増えていた。相談におもむいたハローワークでは「その規模の会社では、特例子会社をつくるのはむずかしい」といわれたが、アドバイザーとして同席した大手企業特例子会社の元社長は「若い君たちの熱意があれば大丈夫」と背中を押してくれたそうだ。半年後の2008年4月の設立に向け、当時、事業企画室にいた取締役事業部長の上うえ田だ庸よう司じさんと、志望した佐久間さんの2人が担当となった。まずは業務を確保するため各部署を回り話を聞いたが、「メール便やシュレッダーの量はたかが知れている」とそっけなくいわれ、社内の既存業務からは仕事を切り出しにくいことがわかった。そこで上田さんが、かつて事業企画室で承認されなかった新規事業案を見直してみた。そのなかにあったのが、中古OA機器の販売だ。ハローワークに依頼して面接会を開催し、20人の応募のなかから20~40代の知的障害のある5人を採用した。 佐久間さんたちはまず、コピー機の中古品を仕入れ、クリーニングをして再販売するという道筋を立てた。技術的な知識「勧告」から特例子会社設立へ中古のコピー機をクリーニング既存業務からではなく、廃案となった新規事業案を見直し、業務を創出本人の意欲と適性を見極めつつ、技術職の領域まで職域を拡大「製販一体型」の職場で、社員の達成感も危機感も共有障害者雇用は「のん気、根気、元気」の精神で1234クラフトマンシップ事業部管理課長の佐久間賢さん取締役事業部長の上田庸司さん(写真提供:リベラル株式会社)POINT5

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