働く広場2020年4月号
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働く広場 2020.4ス作業が追いつかなくなるほどだった。そんなある日、仲なか二ふた見み友ゆう二じさん(26歳)が「メンテナンスをやってみたいです」といってきた。母親からも「本人が希望するなら、時間外勤務となってもよいのでやらせてみてほしい」との話があり、技術職社員の山やま本もと憲けん二じさんが指導してみることにした。仲二見さんには学習障害があったが、漢字を読むことができた。そこで山本さんは、基本的な知識を教えたあとはサービスマニュアルだけで取り組むよう、うながしたという。「うまくいかないときは、すぐに質問するのではなく『なぜそうなるのか』の答えを自分で導き出すことで、作業内容に対する理解が深まります。その結果、スキルが身につきやすくなるからです」1カ月後には、ようやく1台のコピー機をメンテナンスできるようになり、半年後には出庫まで1人でできるようになった。いまでは山本さんの右腕的な存在だ。そんな仲二見さんを慕って2018年に入社したのが磯いそ崎ざき直なお道みちさん(24歳)。母校である白しら鷺さぎ特別支援学校(東京都江戸川区)を卒業した先輩の働きぶりに感激したという。磯崎さんも漢字が読めたが、入社して1年はメンテナンス作業ではなく、必ずコピー機と電話機のクリーニングからスタートしなければならない。スキルが安定してくると、飽きっぽい性格が表れてきた。それを見逃さなかった山本さんは磯崎さんに、メンテナンス作業への挑戦を提案。「その前にクリーニングで結果を出そう」と発はっ破ぱをかけ、磯崎さんも奮起したそうだ。「気持ちを整理し、やるべきことをがんばろうと思えるようになりました。いまは尊敬する先輩と一緒に仕事ができて幸せです」磯崎さんは休みの日などに自分が通っていた就労移行支援事業所に行き、就職活動中の利用者の相談に乗ったり、アドバイスをしたりしているそうだ。2016年入社の江え口ぐち剛ごうさん(22歳)も、白鷺特別支援学校での実習がきっかけとなりリベラルへの入社を希望した。ただし、だれもが希望したからといって入社できるわけではない。3カ月間のトライアル雇用の最後に、自分がチームのリーダーとなって先輩3人に指示を出しながら、コピー機3台のクリーニングを3日間で仕上げるという課題に取り組む。江口さんもしっかりこなし、いまではコピー機・電話機のクリーニングのほか、パソコンの解体作業まで担当している。「細かい汚れを残さないよう、ていねいに取り組むことを心がけています」と語ってくれた。今後の目標は、母校の授業で、講師として後輩たちにしっかり仕事を教えられるようになることだという。リベラルでは、白鷺特別支援学校からの依頼で、クリーニング業務の一部を生徒に体験してもらう授業を続けており、佐久間さんらが週に1回講師として出向いている。江口さんも同行したことがあったが、帰り道で佐久間さんから多くのアドバイスをコピー機のメンテナンス作業に取り組む仲二見友二さん(写真提供:リベラル株式会社)ブラシを使い、電話機を隅々までクリーニングする江口剛さん社員の技術指導にあたる山本憲二さんコピー機の分解作業をする磯崎直道さん7

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