働く広場2020年6月号
33/36

働く広場 2020.6 「京セラ株式会社」(京都市)は、駅のホームからの転落事故や交通事故を低減させるために視覚障害者向けの「スマート白杖」を発表した。RFID(無線自動識別)技術と振動や音声による情報伝達技術を組み合わせた。 RFIDタグを内蔵した白杖の先端がホームや車両に備えつけられた「RFタグ」と呼ばれるパーツに接近すると、振動で危険を知らせ、同時にスマートフォン経由で音声でも注意をうながすシステム。体験会などを経て改良を進め、3年以内の実装を目ざす。  群馬大学(前橋市)が、学術手話通訳の育成強化とともに、聴覚と視覚の両方に障害のある人など、複数の障害のある人を支援する人材の養成を始めた。手話通訳技術を取得した学生に、さらに進んだ障害者支援の技術を身につけてもらう。 2020年1月に、手話言語の認知・言語発達の研究で国内聴覚障害者初の博士号取得者である中なか野の聡さと子こさんが准教授として着任。高等教育機関における手話翻訳の支援態勢が不十分な国内で、手話指導と養成のためのテキストやカリキュラムの開発を進めている。自治体が取り組む手話通訳者養成研修で、受講者が効率よく技術を習得できる方法なども研究し、手話通訳養成環境の早期のレベルアップにつなげる。  「大おお栗ぐり紙工株式会社」(大阪市)は、発達障害者の支援活動をする「一般社団法人UアンバランスnBalance」と協力し、発達障害者約100人の要望を反映させたオリジナルノート「mまほらahoraノート」を開発した。感覚が過敏、集中力が途切れやすいといった特性のある発達障害者をはじめ、だれもが使いやすいユニバーサルデザインを目ざした。 特徴は、表紙や中頁から余計なデザインや情報を省き、中紙には反射によるちらつき、まぶしさをおさえた国産色上質紙を使用。セミB5サイズ(タテ252㎜・ヨコ179㎜)で、色はラベンダーとレモンの2種。1冊280円(税込)。http://og-shiko.co.jp/mahora/  障害者の就労支援事業所などを運営する「NPO法人なでらの森」(米沢市)が、山形県の山菜を乾燥させて塩と混ぜた「さとやまソルト」を開発した。知的障害、精神障害などのある利用者9人が山菜を洗ったり、商品の瓶詰めをした。 遊ゆ佐ざ町まちで採った海水を煮詰めてつくった塩を使用し、味はヨモギやウコギ、コゴミ、クワ、ササ、月がっ山さん筍だけの6種類。各約20g入り450円(税込)。事業所やオンラインショップ「TとOMもO市いち」で販売する。問合せは「なでらの森」へ。電話:0238ー40ー1391。  クリニックで発達障害を専門に治療を行っている司し馬ば理り英え子こさんが『ADHDの人の「やる気」マネジメント 「先延ばしグセ」を「すぐやる」にかえる!』(講談社刊)を出版した。司馬さんは1983年に岡山大学大学院博士課程修了後、渡米し、現地で4人の子どもを育てながらADHDについて研けん鑽さんを積んだ。本書ではおもに「やる気があるのにできないADHDの人」について、やる気を行動に移すスイッチを上手に入れて持続させるマネジメント術などを、イラストや図解入りでわかりやすくアドバイスする。B20取、102頁、1400円(税抜)。 長野大学社会福祉学部社会福祉学科准教授の片かた山やま優ゆ美み子こさんが『一般企業への重度精神障害者の就職をどう支援していくか 包括的な支援のためにIPSを利用する』(ミネルヴァ書房刊)を出版した。ソーシャルワーカーとして現場で働いていた著者が、これまで感じてきた問題点に真しん摯しに取り組んだ研究を紹介。重度精神障害者の就職・定着支援の一つのツールとして、米国で開発されたIPS(個別就労支援)を紹介し、実際の現場における有用性について検証。日本における新たな支援の可能性を明らかにする。A5判、216頁、6000円(税抜)。「白はく杖じょう」がスマート化京都発達障害者の意見を採用したノート大阪山菜風味の塩を商品化山形働く学術手話通訳の育成強化群馬本紹介『ADHDの人の「やる気」マネジメント 「先延ばしグセ」を「すぐやる」にかえる!』『一般企業への重度精神障害者の就職をどう支援していくか 包括的な支援のためにIPSを利用する』31

元のページ  ../index.html#33

このブックを見る