働く広場2020年7月号
11/36

働く広場 2020.7るようです。だからこそチームワークもしっかりできているように感じます」 ほかに、障害のある社員2人の方から書面でコメントをもらったので紹介したい。聴覚障害のある橋はし本もと涼りょう子こさんは、2013年に入社。「もともと地元の仙台市で就職先を探していたので、パーソルチャレンジに長く勤めるつもりはなかったのですが、仕事やメンバーとのかかわりが楽しくなってきて勤め続けています」という。メディア制作グループで求人原稿のリライト業務を担当している橋本さんは、取引先とのやり取りは、メールかSスカイプkypeを使っている。文字だけでは意思疎通が図れないこともあるが、「先方が事情を察して懸命にコミュニケーションをとろうとしてくれるときは、感謝の気持ちでいっぱいになります」。こうした積み重ねで信頼関係を築けたときに達成感を得るそうだ。2014年入社の西にし郡ごおり大だいさんは、新卒で大手外食企業に入社するも、オーバーワークから体調を崩し、精神障害の手帳を取得した。「体調の変化と向き合いながらも、自分の能力を活かせる場を模索した結果、障害者雇用という道を選びました」とふり返る。メディア制作グループに在籍し、いまでは企業在籍型ジョブコーチ(職場適応援助者)として、メンバーの支援や研修の講師などを務める。チームリーダーとして、日ごろから自分の体調管理にも気を遣っているという。「避けられない体調の波はあるので、その波を予知するためにも日々の睡眠や食事、意欲に関してこまめに記録をとり、客観的に自分を見つめるように努力しています」仕事のやりがいや今後の目標について、西郡さんはこう答えてくれた。「業務を切り出すというよりも、アウトソーシングビジネスとして利益を追求するために、試行錯誤しながら改善していく仕事のスタイルに、やりがいを感じます。大きな目標を語るとしたら、障害者雇用という言葉がなくなるくらい、あたりまえになる社会を実現することです」 パーソルチャレンジは、当初の特例子会社としての設立目的から大きく変わり、グループ全体の人事や経理など基幹的な業務を丸々引き受ける「事務センター」へと成長した。今後の課題は、業務内容に沿った人材を、引き続きいかに雇用していけるかだと井上さんはいう。「近年は首都圏を中心とした人材獲得競争が激しくなっている一方、地方ではまだまだ働きたくても機会がないという状況です。私たちとしては、首都圏でやっている業務を、テレワークなどを活用しながら、どう推進していけるか考えています」パーソルチャレンジは、2018年度に厚生労働省から「障害者のサテライトオフィス勤務導入推進事業」を受託。ほかの企業や自治体と連携して、テレワークを活用した障害者雇用における地方の人材活用のあり方などを探ってきた。パーソルチャレンジでも10人がテレワーク勤務をしているそうだ。セキュリティやオフィス勤務との情報格差、帰属意識などの課題を解決しながら、障害者雇用のテレワークはもっと進めていけるとみている。こうしたICT(情報通信技術)の活用なども含め、障害者雇用の現場は、どんどん変わっていくだろうと井上さんは話す。「働き方改革が推奨される日本ですが、企業によっては、既存の制度や就業規則を変えにくいとして、テレワークや時差出勤すらむずかしいという声も聞きます。障害者雇用の場というのは、独自に新しい働き方や制度を試すことができるチャンスです。障害者雇用の先に、働き方の多様化があり、企業や社会の成長があります。それを後押しするさまざまなチャレンジを、私たちは続けていきたいと思っています」「〝障害者雇用〟という言葉がなくなるくらい」にテレワークを活用し地方雇用も推進人材支援グループで働く中津井亨さん(写真提供:パーソルチャレンジ株式会社)99

元のページ  ../index.html#11

このブックを見る