働く広場2020年7月号
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【図表1】 既存の職務から従事する職務を選んだ事例【図表2】職務を創り出した例働く広場 2020.7いた課内の作業量の繁閑も把握し、1人分の作業を選定した。 障害者のための職場のバリアフリー化が、どこまでできるか不安です。 A 職場のバリアフリー化には、さまざまな支援や工夫が可能です。 職場すべてのバリアフリー化は、現実的には困難なケースも多いと思われることから、緊急性などを考慮し、障害者本人ともよく話し合いながら改善を進めるとよいでしょう。バリアフリー化にこだわり過ぎて、障害者雇用が進まない事態は避けるべきです。ソフト面での解決策もありますので、柔軟に検討してみましょう。 ケース1 相談者:自社ビルを持つ従業員千人規模の会社相談内容:会社の玄関入口と歩道の間に5センチ程度の段差がある。車いすの社員は自力で乗り越えられてQ 3いたが、車いすの仕様を変えた途端に転倒の恐れが出てきた。スロープの設置を検討したが、公道にはみ出してしまい増設できない。改善策:スロープを増設したり、段差を削ったりすることができないことから、車いすが通るときに社員がいつでも手伝えるよう、社員研修を行い、連絡体制を整えた。 また、バリアフリー化の経費は助成金の対象になる場合がありますので、当機構各都道府県支部高齢・障害者業務課(東京・大阪は高齢・障害者窓口サービス課)にご相談ください。◆障害者作業施設設置等助成金  スロープの設置、トイレの改造など、障害者の障害特性による課題に対応した施設または作業設備の設置・整備を行う費用の一部に対して助成 ◆重度障害者等通勤対策助成金  住宅の貸借、住宅手当の支払い、駐車場の賃貸など、通勤を容易にするための措置を行う場合に要する費用の一部に対して助成  中央障害者雇用情報センターでは、事業主などの方々に、視覚・聴覚障害などの障害特性に応じた就労支援機器の貸出しも行っています。最近は聴覚過敏のある方向けのヘッドフォン機器なども多く貸し出されています。ご利用ください。 A作業名内容要件1(身体負担)要件2(理解・判断)要件3(コミュニケーション)要件4(資格・スキル)時間頻度施設設備適否部品の検品部品形状やキズの確認普通必要必要不要終日否部品収納・ピッキング数字・アルファベットを判読し、収納ピッキングを行う負担やや大必要必要不要終日否配送用の段ボール準備配送製品に合わせて段ボールを組立て負担やや大不要不要不要随時適部品の組立て5種類の製品の組立て立ち作業必要必要不要終日工具使用否輸入製品の開梱・ラベル貼り・箱詰め100単位の製品を10個単位に詰め直す負担やや大不要不要不要終日適指示書作成の数値入力エクセル帳簿に商品№・個数・日付を入力負担小必要必要PC操作随時否段ボールの解体・整理段ボールと梱包用発泡スチロールを分別し、整理負担やや大不要不要不要随時適時間時間作業内容8:30段ボール組立て9:30ラベル貼り・箱詰め12:00昼食13:00段ボール解体・整理14:00工場内清掃16:00ゴミ回収17:00終了工場での職務例(箱詰め・清掃)事務所での職務例(事務補助・清掃)時間時間作業内容9:00事務所の清掃9:30会議室の清掃10:00パソコンデータ入力11:00社内メール仕分け12:00昼食13:00書類ファイリング14:00パソコンデータ入力15:00シュレッダー作業15:30ゴミ回収・運搬16:00終了1 企業名A社2 業種医療用機器の製造業3 雇用事業所製品の生産工場4 従業員数190人5 障害者の雇用状況と経緯 法定雇用障害者数は4人。現在、経理部署に内部障害者(心臓機能障害3級)を雇用しているが、あと3人の障害者を工場で新規雇用することを目ざしている。 当初、事務部門で身体障害者の雇用を計画し、求人を出したが、適当な人材が確保できなかったため、ハローワークの助言で募集する障害者の範囲を知的障害者や精神障害者まで広げ、製造現場で雇用を目ざすこととし、職務を再点検した。6 整理票の作成7 職務の決定 知的障害者や精神障害者も含めて配置を考えていくことから、①判断要素が少ないこと、②納期に縛られないこと、③作業内容の変化が少なく恒常的に作業量を確保できることなどを選定ポイントにして、「輸入製品の開梱・ラベル貼り・箱詰め」に従事してもらうこととした。また、作業が確保できない日については、「配送用の段ボール準備」「段ボールの解体・整理」も補助業務として従事してもらうこととした。1日のスケジュール11

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