働く広場2020年7月号
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働く広場 2020.7複障害で集計すると表1の通りとなりました。 就職にあたって必要としている配慮と就職後の職場での配慮を見ると、表2の通りそれぞれの障害により必要な合理的配慮は異なり、それぞれの障害特性を反映した結果となっています。表2の代表的な配慮項目とは、選択率が20%以上でかつ障害種類別のデータ分析において5%水準で有意に多いと判定した項目としました。 就職にあたって重視する労働条件等では、障害種類にかかわらず「職種・仕事の内容」が最も多く、次いで「障害への理解・配慮」となっています。 障害者雇用について課題認識のある事業所が全体に占める比率は、実際に障害者を雇用しているかどうかにかかわらず、精神障害>知的障害、発達障害>身体障害という結果となりました。障害別に見ると、精神障害者の雇用に課題認識のある事業所が最も多いことが明らかになりました。 雇用障害者に対して何らかの配慮を実施している事業所が全体に占める比率は、身体障害>精神障害>知的障害>発達障害という結果になり、発達障害については配慮を実施している事業所が半数にも満たず、発達障害への配慮は実施されにくい現状が浮き彫りになっています。 実施している配慮の内容では、どの種類の障 障害のある求職者の実態については、精神障害者等に限定した報告はあるものの、障害のある求職者全体を対象にした全国的な調査結果は近年報告されていない状況にあります。 また、障害者雇用では、障害者の実態、希望に応じて安心して安定的に働き続けられる環境を整備していくことが課題になっており、障害のある求職者が職場でどのような合理的配慮や労働条件等を希望しているかを明らかにすることが課題改善のために必要となっています。さらに、職場での合理的配慮に関しては、求職者側だけでなく、受入れ側である事業所の課題認識や提供している合理的配慮についてもあわせて検討することが必要になっています。 この調査研究は、ハローワークに新規求職申込みを行った障害のある求職者の実態について全国調査を行い、あわせて厚生労働省が事業所を対象に実施した「平成30年度障害者雇用実態調査結果」データの二次分析を行うことで、障害のある求職者の実態や雇用する事業所側の合理的配慮等の現状を検討しました。 この実態調査は、ハローワークに新規求職申込みのあった障害のある求職者について、ハローワーク担当者が職業相談等において把握した事例情報を2回に分けて所定の調査票に入力することにより実施しました。調査内容は、求職者の基本情報(27項目)、前職の状況(22項目)、希望する労働条件等(19項目)および就職状況(25項目)から構成し、各項目には回答選択肢を設定しました。調査票は全国47都道府県のハローワーク417所から回収し、障害のある求職者4962人分のデータ(個人情報を除く)を収集しました。 求職者の障害状況を身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、その他の障害の五つで区分し、重複計上(重複障害のケースは該当する障害にそれぞれ計上)、重複なし(単一障害のみ)、重調査研究報告書No.「障害のある求職者の実態等に関する調査研究」障害者職業総合センター研究部門 障害者支援部門153はじめに1平成30年度障害者雇用実態調査データの二次分析結果より3障害のある求職者の実態調査結果より228

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