働く広場2020年7月号
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働く広場 2020.7害者に対しても“配慮している”と回答した事業所に限定して障害別による実施状況を比較することにより、表3の通り障害別の代表的な配慮項目が明らかになりました。代表的な配慮項目とは、選択率が20%以上でかつ5%水準で有意差を認めた(複数の障害別の間で有意差を認めた場合は最上位の障害)項目としました。なお、発達障害については代表的な配慮項目を認めることができませんでしたが、この結果は上述のように発達障害の特性に応じた配慮を認識することが難しいという実態の反映ではないかるような配慮が必要であり、このような関係が職場での合理的配慮の基本となっていると考えます。 この調査研究報告書には、障害のある求職者の実態調査結果として、上記の五つの障害別のほか、さらに詳細な障害種類別(視覚障害・聴覚言語障害・肢体不自由・内部障害・気分障害・統合失調症・てんかん・高次脳機能障害・ASD︻自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害︼・ADHD︻注意欠如・多動性障害︼・難病)の93項目の集計データを掲載しています。と考えます。 上記の調査結果から障害のある求職者が必要としている配慮と事業所が提供している配慮のそれぞれの状況を俯ふ瞰かんすると、両者に共通して多いのは「能力が発揮できる仕事への配置」となっています。働く側にとっては能力が発揮できる仕事に就けるような配慮を必要とし、雇う側にとっては能力を発揮してもらえる仕事とな※「調査研究報告書No.153」は、http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku/houkoku153.html よりダウンロードできます◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.or.jp)おわりに429表1 障害のある求職者の障害状況表2 障害のある求職者が職場で必要としている代表的な配慮項目表3 事業所で提供している代表的な配慮項目障害名重複計上重複なし身体障害29.0%27.4%知的障害13.1%11.4%精神障害47.4%42.4%発達障害12.9%9.1%その他の障害4.0%3.2%重複障害          6.4%障害名[希望]必要としている配慮項目(選択率)[就職]職場での配慮項目(選択率)視覚障害能力が発揮できる仕事への配置(43.2%)(5%水準で有意に多いと判定した項目がなかった)移動のための配慮(21.6%)聴覚言語障害職場でのコミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置(50.0%)(5%水準で有意に多いと判定した項目がなかった)肢体不自由能力が発揮できる仕事への配置(37.1%)能力が発揮できる仕事への配置(41.3%)内部障害通院時間の確保、服薬管理など雇用管理上の配慮(48.4%)通院時間の確保、服薬管理など雇用管理上の配慮(43.8%)調子の悪いときに休みをとりやすくする(44.5%)調子の悪いときに休みをとりやすくする(36.3%)短時間勤務など労働時間の配慮(23.5%)知的障害能力が発揮できる仕事への配置(49.5%)能力が発揮できる仕事への配置(50.4%)職場でのコミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置(37.3%)職場でのコミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置(33.6%)業務内容の簡略化などの配慮(33.8%)業務内容の簡略化などの配慮(35.3%)業務遂行の支援や本人、周囲に助言する者等の配置(28.4%)業務遂行の支援や本人、周囲に助言する者等の配置(23.5%)上司や専門職員などによる定期的な相談(20.2%)精神障害調子の悪いときに休みをとりやすくする(54.0%)調子の悪いときに休みをとりやすくする(50.5%)通院時間の確保、服薬管理など雇用管理上の配慮(37.1%)通院時間の確保、服薬管理など雇用管理上の配慮(38.6%)短時間勤務など労働時間の配慮(28.8%)短時間勤務など労働時間の配慮(27.0%)発達障害能力が発揮できる仕事への配置(47.0%)能力が発揮できる仕事への配置(48.9%)職場でのコミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置(39.8%)職場でのコミュニケーションを容易にする手段や支援者の配置(43.5%)業務遂行の支援や本人、周囲に助言する者等の配置(24.9%)業務遂行の支援や本人、周囲に助言する者等の配置(34.8%)業務内容の簡略化などの配慮(22.2%)業務内容の簡略化などの配慮(33.7%)上司や専門職員などによる定期的な相談(20.7%)上司や専門職員などによる定期的な相談(25.0%)その他の障害通院時間の確保、服薬管理など雇用管理上の配慮(48.9%)(5%水準で有意に多いと判定した項目がなかった)障害名配慮項目選択率身体障害短時間勤務等勤務時間の配慮51.5%通院・服薬管理等雇用管理上の配慮50.7%配置転換等人事管理面についての配慮48.0%能力が発揮できる仕事への配置47.9%休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮43.3%職場内における健康管理等の相談支援体制の確保36.0%職場での移動や作業を容易にする施設・設備・機器の改善28.4%駐車場、住宅の確保等通勤への配慮27.1%知的障害短時間勤務等勤務時間の配慮50.0%能力が発揮できる仕事への配置46.6%業務実施方法についてのわかりやすい指示43.3%工程の単純化等職務内容の配慮42.1%業務遂行を援助する者の配置31.7%関係機関等、外部機関との連携支援体制の確保27.1%精神障害短時間勤務等勤務時間の配慮52.8%通院・服薬管理等雇用管理上の配慮49.8%能力が発揮できる仕事への配置46.8%配置転換等人事管理面についての配慮45.6%職場内における健康管理等の相談支援体制の確保35.6%関係機関等、外部機関との連携支援体制の確保27.5%発達障害該当する項目なし※重複障害: 表中の5つの障害のうち 2つ以上重複していること※網掛け部分は両欄に共通している配慮項目を示す。(注)重複障害による他障害の影響を除外するため、障害別の場合は単一障害のみのケースを対象に、身体障害種類別  の場合は単一障害種類のみのケースを対象にデータ分析を行った。身体障害

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