働く広場2020年7月号
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働く広場 2020.7グループビジョンの「はたらいて、笑おう。」を掲げるCMで知られる「パーソルホールディングス株式会社」(以下、「パーソル」)は、2020(令和2)年4月1日現在で国内外135社680拠点、連結従業員数5万774人を抱える人材業界の大手企業だ。パーソルの特例子会社「パーソルチャレンジ株式会社」(以下、「パーソルチャレンジ」)が設立されたのは2008(平成20)年。当初は社員数10人、うち障害者7人(身体障害)でスタートしたが、いまでは社員数740人、うち障害者は409人(身体障害93人、知的障害37人、精神障害279人、2020年4月1日現在)、グループ全体での雇用率は2・21%(2019年6月1日現在)となっている。今回の職場ルポは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、職場訪問を断念した。代わりにパーソルチャレンジの3人の方に、ビデオ会議システムを使って3月下旬にインタビューさせてもらった。「いまも年間80人の雇用目標で臨んでいます」と話すのは、パーソルチャレンジの代表取締役を務める井いの上うえ雅まさ博ひろさんだ。もともと外資系IT企業で人事業務にかかわり、2000年に中途入社したパーソルのグループ会社では人事分野を指揮してきた。パーソルチャレンジの前身である特例子会社「株式会社インテリジェンス・ベネフィクス」設立の中心人物でもある。まずは経緯から教えてもらった。「ちょうど私が入社した年から2008年にかけて会社は急成長し、社員数が約400人から5000人超へと10倍以上に増えました。そのため3年間で100人以上の障害者を雇用する必要がありましたが、各部署ではなかなか進められずにいました。そこでまず人事部の直下に子会社をつくって取り組んでみようと提案しました」井上さんは、特例子会社の運営が「多様な働き方」につながるとも見ていた。「労働環境に配慮が求められる職場ですから、一緒に働く社員も、時短勤務も含めた多様な働き方が可能になります。障害者雇用の推進が『働き方の多様化』への挑戦につながるということも、設立提案に盛り込んでいました」というのも当時の親会社は、育休を経て復職する女性社員が、いきなりハードワークの環境に戻り、時短勤務も定着できない状況だった。能力があるのに、やむを得ず退職するケースも目まの当たりにしたという。パーソルチャレンジでは、こうした育児や介護などとの両立が必要な社員を積極的に登用した。手がける業務は、事務系を中心にすると決めていた。理由の一つは、グループ会社には契約社員やアウトソーシング向けのマニュアル化された仕事が多く、障害のある人も取り組みやすいのではないかということ。もう一つは、事務系の仕事でキャリアを積むことで、本人が将来転職したいと思ったときの選択の幅を広げやすいということだった。「ここで働き続けてもらうことが一番ですが、少なくとも本人のキャリアステップになれば、結果として私たちの会社の存在価値にもつながります」請け負う業務の切り出しについては、もともと井上さんが「どこの部署にどん障害者409人の特例子会社事務系の受託業務グループ会社から「雇用管理費」グループ会社は「業務委託費」か「雇用管理費」を負担事務系の業務100種、丹念にマニュアル化「不安の解消」マネジメントで多面的な社員支援123インタビューはパソコンを使用したビデオ会議システムで行われた代表取締役の井上雅博さん(写真提供:パーソルチャレンジ株式会社)POINT5

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