働く広場2020年8月号
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【図表2】 雇用管理のために把握しておく事項【図表3】 職業準備性の具体的ポイント働く広場 2020.8た障害者の把握・確認ガイドラインの概要―事業主の皆様へ―』というパンフレットを出していますので、ぜひ参考にしてください。どんな点を基準に採否を決めたらよいでしょうか。 A 仕事への意欲、マッチング、協調性、障害の自己理解がポイントとなります。その前提として、障害種別を問わず「職業準備性(※)」の確認が重要です。 基本的には、一般社員の採否判断と同様に考えます。例えば①仕事への意欲、②職務経歴・スキル・職務遂行能力などによる職務とのマッチング、③周囲との協調性、などです。 障害については、その内容や程度に加え、障害を正しく自己理解し適切に対応できることが重要です。具体的には職場で「自分ができること・できないこと」、「サポートを受ければできること」などを説明でき、「困ったときに自分から周囲にサポートを依頼できる」ことです。 特に精神障害者の場合は、働く意欲満々という人ががんばり過ぎて突然体調を崩し、離職してしまうケースが少なくありません。「自分の病気を理解し、いまの自分を客観視できているか」、「自己コントロールができているか」が、採否判断の基準として重要となります。※職業準備性とは…どの職業にも共通して必要とされる、職業人としての基礎的な要件(図表3)。Q 3A車使用の場合は駐車スペースの確保、上肢や言語に障害のある場合の試験時間の配慮など。◆知的障害、精神障害:短い面接などだけで職務遂行能力などは把握しにくいため、一定期間の職場実習を実施してから採否を決める方法も考慮。  面接時は、支援機関の担当者の同席も有効です。求職者は就職したい気持ちが強ければ強いほど、無理をして話してしまうものです。また、緊張しすぎて思っていることを十分話せないこともあります。支援機関の担当者がかかわることで、本来の状況や病状を補足して聞くことができます。ただし、あくまでも面接の主役は求職者本人なので、後方で見守ってもらい、必要に応じて補足を求めるぐらいがよいかもしれません。●相談ケース  面接時に、本人の障害の状況などについて、どこまで聞いてよいか。また、聞いてはいけないことはあるか。●アドバイス例  一般的な面接と同様に、求職者に対しては、雇用した場合の配属先や担当業務の決定、研修方法や職場環境の整備のために、本人の状態を把握する質問をする必要があります(図表2)。「入社後に私たち雇用者側が、どんなところに気をつければよいかという観点からお聞かせください」という姿勢で臨みましょう。 もちろんプライバシーにかかわる質問については一定の留意が必要です。厚生労働省が『プライバシーに配慮し 障害関係 職務遂行関連 職場生活関連 障害・疾病管理に関する事項 日常生活技能に関する事項 基本的労働習慣に関する事項○障害の状況○治療の必要性・内容、通院・服薬の状況○必要な支援内容○障害(疾病)のことを正しく理解している○障害(疾病)の自己管理ができる(治療や検査のための通院、定期的な服薬)○障害(疾病)が悪化した場合、医師に相談するなど適切な対応ができる○希望する仕事○仕事に関するスキルの習得状況 (専門知識、機器などの操作、パソコン操作、運転免許など)○コミュニケーション方法 (メール・電話・会話、聴覚障害者の場合は 口話・手話・筆談)○出張、異動の可否○規則正しい生活習慣が身についている○身辺処理が自立している○あいさつや返事ができる○報告・連絡ができる○わからないことには質問や相談ができる○自分ひとりでできない場合は助けを求める ことができる○ミスした場合に謝罪できる○感情的にならない○周囲と協調できる○通勤の方法 (自家用車・自転車・公共交通機関の利用)○通勤経路と時間○職場内の移動方法○一人で通勤できる(代替手段がある)○職場の規則を守る○就業時間中、安定して仕事に取り組める○危険を察知することができる(代替手段がある)【図表1】~【図表3】出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「はじめからわかる障害者雇用 事業主のためのQ&A集」より編集部作成11

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