働く広場2020年8月号
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働く広場 2020.8久我さんのパートナーであるアイメイト(盲導犬)は、4歳のラブラドール・レトリーバーだアイメイトの待機スペースは、久我さんのデスクのすぐ隣登庁前にアイメイトに排泄させ、飲み水を与える 千葉県商工労働部で働く久く我が裕ゆう介すけさん(41歳)の通勤は、アイメイト(盲導犬)との共同作業だ。アイメイトは、横断歩道の手前で脚を止める。久我さんは、耳や感覚で車の流れを読みとって信号が青になったと判断し、アイメイトに前進の指示を出して横断歩道を渡り始めた。久我さんは25歳のとき、網膜色素変性症により急激に視力が低下した。その現実に一時は絶望したが、前向きに自立を目ざし、わずかに残る視力で千葉県の地方公務員試験に挑戦、見事合格することができた。また就職する前に、日本視覚障害者職能開発センター(東京都)でパソコンのスキルや事務処理を学び、2008(平成20)年、千葉県庁に入庁した。そして2010年にはアイメイトを迎え、ともに働き始めることとなった。現在、久我さんは、商工労働部の障害者就労支援班副主査として県内各地の企業支援員(障害者雇用アドバイザー)から提出される月報の集計や、データベース更新などを担当している。効率的に仕事を進めるために、マクロなどを使ったデータ処理の自動化や、月報のフォーマットの改善を行った。久我さんは視覚障害のある人に対し「パソコンのスキルや事務処理能力を身につけることで、仕事が楽しくなります」とアドバイスする。久我さんは、千葉市内の小中学校で行われる福祉講座などに、アイメイトとともに積極的に参加している。そこで、視覚に障害のある人へのガイドヘルプ(移動介護)の方法や、「障害者が働くことが、当たり前になる社会」の実現への願いを次世代へと伝えている。「アイメイトは、自分の身体の一部です。一緒に歩くことが楽しい」と語る久我さんとアイメイトとの歩みは明日も続く。16

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