働く広場2020年8月号
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働く広場 2020.8するための方策を検討しておくことが重要と考え、生活習慣改善の取組みをテーマとした技法の開発に取り組んできました。 日常生活基礎力形成支援は、生活習慣の改善に取り組むための導入としての2回の「講座」、受講者自身が取り組む行動目標を決め、その実施結果や効果を記録する「セルフモニタリング」、行動を継続するための動機づけや必要な軌道修正を行う「習慣化のフォローアップ(習慣化ミーティング、個別面談)」で構成されており、図1の流れで実施します。①「心の健康を保つための生活習慣」 生活習慣と心の病気の関連性や、睡眠、食事、運動、セルフケア(ストレス対処)についての基礎的な知識を付与します。そのうえで、受講者自身の生活習慣をふり返ってもらい、改善し 障害者職業総合センター職業センターでは、職場復帰を目ざす気分障害等の精神疾患による休職者を対象とした「ジョブデザイン・サポートプログラム」(以下、「JDSP」)の実施を通じ、休職者の職場適応能力の向上やキャリアを再構築するための支援技法および事業主が労働環境整備を推進するための支援技法の開発、普及に取り組んでいます。 2018(平成30)年度からは、心の健康を保つために必要な睡眠、食事、運動などの日常生活での取組みを継続し、適切な生活習慣を確立・維持することが、復職後の安定勤務を支える大きな要素であるとして、これを「日常生活基礎力」と定義し、その向上を図ることを目的とした支援技法の開発に取り組んできました。そして、2019(令和元)年度末に、支援の内容や実施上の留意点などを、支援マニュアル№20「ジョブデザイン・サポートプログラム 日常生活基礎力形成支援~心の健康を保つための生活習慣~」として取りまとめました。本マニュアルには、支援者の方にご活用いただきやすいよう、支援で使用する講座資料や記録用紙などを収録したCDと、支援場面の様子を再現したDVDを添付しています。 近年、睡眠や食事といった生活習慣がうつ病の発症リスクに関連することや、生活習慣の改善がうつ病の予防・改善、ストレスの軽減に有効であることを示す調査結果が増えています。 JDSPや地域障害者職業センターのリワーク支援の受講者においても、不調や休職の要因を分析すると、業務量の過多や人間関係といった職場で生じる問題以外に、慢性の睡眠不足や食事の不摂取による集中力の低下、肥満などの生活習慣病からくる不調など、生活習慣に起因する課題が見られることが少なくありません。また、企業の担当者や産業医からも、リワーク支援を通じて一時的には生活習慣の改善が図られたとしても、復職後に再び乱れが生じ、再発、再休職に至るケースがあるという話がしばしば聞かれ、ここからも生活習慣の管理が復職後の安定勤務の重要な要素であることが窺うかがえます。 これらをふまえ、休職者自身が生活習慣を改善することの必要性を認識したうえで、休職段階から適切な生活習慣を確立し、復職後も維持気分障害等の精神疾患で休職中の方のための日常生活基礎力形成支援〜心の健康を保つための生活習慣〜障害者職業総合センター職業センター●開発の視点●日常基礎力形成支援の概要●講座28図1 日常生活基礎力形成支援の 流れ

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