働く広場2020年8月号
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働く広場 2020.8たいことについて整理します。②「よい生活習慣を続けよう」 行動を習慣化するためのポイントや工夫について説明した後、受講者各々に、復職後の安定勤務のために自分が習慣化させたい生活習慣上の行動目標を一つ決定してもらい、ワークシートを用いて実行に向けた具体的な行動計画を立てていきます。  講座②で決めた行動目標に受講者が各自で取り組み、実施結果を「行動ノート」(図2)に毎日記録していきます。また、一週間の最後には、取組みによる心身の変化や習慣化の状況、得られた効果や次週に向けての改善点などを記録します。復職後も継続するための自己管理の仕組みとして、受講者自身が記録し、ふり返る方法を取り入れています。 ・「習慣化ミーティング」 一週間の取組みについて、週に一回、グルーが見られることがあります。そのため、取り組む行動目標は無理なく続けられるものを設定するよううながし、実行できた達成感を持ってもらうことや、気力や体力が低下したときでも取り組める目標を別に設けておくことを提案するなど、気分や体調の波を想定した目標設定ができるよう支援することが大切です。   受講者からは、取組みを通じて、「心身へのよい変化(睡眠の質の向上や疲労の回復等)を実感できた」、「行動を続けられたことが自信につながった」、「行動ノートへの記録や習慣化ミーティングにより、取組みの効果や達成感を感じることができ、『今後も続けたい』というモチベーションになった」との感想が聞かれています。今後は、プログラム終了後のアンケート等を通じて、受講者の復職後の安定勤務に寄与できたか等の効果をさらに検証するとともに、よりよい実施方法について検討を重ねていきます。  生活習慣の改善は、休職段階から休職者自身が取り組むことができるものです。復職後の安定勤務の継続を目ざし、休職者が適切な生活習慣を確立、維持できるよう、本マニュアルをご活用いただければ幸いです。 支援マニュアル№20「日常生活基礎力形成支援」は、障害者職業総合センターのホームページに掲載しています(※1)。また、冊子の配付を希望される場合は、当職業センターに直接ご連絡ください(※2)。プで行動ノートを基に発表と意見交換を行います。グループでのふり返りには、互いにねぎらい励ましあうことで前向きな気持ちが生まれる、習慣化に役立つコツについて情報共有ができる、といった利点があり、行動継続のモチベーションの維持に効果的です。・「個別面談」 行動の継続が滞っていたり、目標を達成できていないことによる自責の念が見られる場合には、無理なく取り組める目標の再設定や、気持ちの切り替え方について個別面談で相談します。また、行動が習慣化できている場合は、復職後も継続するための方法について具体的に検討します。  生活習慣改善の取組みを継続するためには、受講者自身の目的意識や、行動への意欲が重要です。このことから本支援では、「行動変容ステージ」や「動機づけ面接法」を参考に、受講者の行動変容の準備段階に応じたかかわりを行うことや、受講者のなかから動機を引き出すことをポイントにしています。特に、「習慣化ミーティング」を運営する際には、取組みについてのねぎらいや共感を示しながら、できていることや行動に向かおうとする言動に焦点を当てたフィードバックを行い、受講者の自信やモチベーションを強化することを意識します。 また、支援を進めるうえでは、うつ病等の障害特性に配慮することにも留意します。受講者のなかには、症状による気持ちの落込みや無力感が見られたり、休職によって自信や自己効力感が低下し、行動を起こすことへの躊ちゅう躇ちょや不安※1 「支援マニュアルNo.20」は、https://www.nivr.jeed.or.jp/center/report/support20.htmlよりダウンロードできます※2 障害者職業総合センター 職業センター TEL:043-297-9043 https://www.nivr.jeed.or.jp/center/index.html●実施上のポイント●セルフモニタリング●習慣化のフォローアップ●日常生活基礎力形成支援の効果 ●まとめ29図2 行動ノート

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