働く広場2020年8月号
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働く広場 2020.8【失敗しない器具】…拭き掃除用の布生地は、雑菌が残りやすい綿ではなくマイクロファイバークロスを使用。クロスに薬剤を均等にしみこませるための専用の絞り機、拭き作業のときに手加減でムラができないハンドフレーム、高い場所も無理なく拭ける特殊なモップヘッドもある。イタリアから輸入されたカラフルな器具だ。【効率的な機器】…面積の広いカーペット床用にはバッテリー式の掃除機を使用。操作性がよく、腰などへの負担も少ない。【高品質の除菌洗剤】…おもな洗剤は、今年3月に新型コロナウイルス感染症が拡大した「ダイヤモンド・プリンセス号」船内の除菌消毒にも使われた、カナダVI R O X(バイロックス)社製の加速化過酸化水素含有除菌洗剤。除菌力が高く、人体に無害だとして国際宇宙ステーションでの使用も許可されているという。【徹底した消毒区分】…ドアノブなど手の触れる場所は除菌洗剤で消毒、トイレの便器はバイオ消臭洗剤を使って臭いや雑菌繁殖を抑制。汚れ度合いに応じて3色のクロスを使い分ける。【数値による品質管理】…トイレの見えない汚れを紫外線のブラックライトで確認。テーブルなどの拭き掃除後は、飲食店の衛生検査などで使用されるハンディ型の測定機器を使いチェック。「まな板以上」の数値を合格基準にしている。 ハーティを取材訪問したのは、新型コロナウイルス感染症拡大防止のための外出自粛が解除されたばかりの6月上旬。再開したばかりの清掃業務は、この日は直接見学できなかったが、社員の1人、宮みや廻ざこ高たか虎とらさん(22歳)に話を聞くことができた。勤続4年目の宮廻さんは、実習で先輩たちにやさしくしてもらったことが好印象で、入社を決めたそうだ。「清掃の仕事は、最初からむずかしくありませんでした」とふり返る。朝は早いときは7時15分出社のため、起きるのがつらいときもあるが、「職場で仲よくなった同僚や先輩もいるので、助け合いながら、楽しく働いています。みんな明るくて、仕事熱心です」と笑顔を見せる。仕事上で気をつけていることについて聞くと「ぼくは作業しているとき、あせっちゃう癖があるので、注意しています。たまにコーチに声かけしてもらって直しています」と明かしてくれた。  清掃業務は1チーム5~6人で進めていくが、現場では、人によって苦手な作業があることがわかった。そこで、全員がひと通りの作業をやってみて、得意・不得意をチーム内でカバーし合えるような分担手順を考えた。岡本さんはいう。「その一方では、ずっとできないだろうと思っていた作業が突然できるようになる人もいます。彼らの可能性や成長の兆しを、コーチも見逃さないようにしています。『重度の知的障害があるから、このぐらいまでしか無理だろう』という勝「あせっちゃうんです」「あせらない」、「あきらめない」、「あなどらない」専用の絞り機(ロールリンガー)を使用して、薬剤を均等にしみこませる(写真提供:株式会社ドコモ・プラスハーティ)薬剤をしみこませたクロスをハンドフレームに取りつけ、机の天板を拭きあげる(写真提供:株式会社ドコモ・プラスハーティ)ドアノブなど、人の手指が触れる場所の消毒清掃が感染防止につながる(写真提供:株式会社ドコモ・プラスハーティ)6

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