働く広場2020年9月号
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働く広場 2020.9会食など交流を続けているそうだ。「在学中の平野さんは、会話でいいよどんだり考え込んでしまったりすることも少なくなかったのですが、テセックに就職してから自信をつけたのか、飛躍的にコミュニケーション能力が高まったという印象があります。本人の努力とともに、職場のみなさんのフォローのおかげだと感じます」あらためて、特別支援学校での職業訓練についても説明してもらった。「例えば青峰学園では、ロジスティクスコース・食品コース・福祉コース・エコロジーサービスコースに分かれ、校内実習や企業での職場実習を経て就職していきます。平野さんが在籍していたロジスティクスコースでは、物流・事務に関する仕事を念頭に、資料の印刷・データ入力や物品管理、納品などを含め、一般事業所などから仕事をもらっているので実践的に学ぶことができます」「あすく」では、平野さんのような登録者に対し就労後も連絡を取り合いながら、必要に応じて面談や職場訪問などを行っている。本人の就労に関する不安や悩みを聞いて解決を図るだけでなく、雇用側の就労規定や働き方について正しく理解し、実践できるよう導くといったフォローもしている。就労定着支援における企業と支援機関との連携のあり方について、原さんが話す。「私たち就労支援機関は、当事者の就労とは直接関係のない生活・家庭事情など、雇用者側がふみ込めないプライベートな部分にも多少かかわることができます。お互いにうまく役割分担しながら多面的に支援していくことが大切です」「あすく」は現在250人ほどの登録者を抱え、平時から一人ひとりの様子に目が届きにくくなるため、雇用者側から積極的に相談してもらいたいともいう。「斉藤さんは、ふだんから定期的にメールや電話で連絡をくれるので、私たちとしてはむしろ状況を把握しやすくなり助かっています。少しの異変でも早目に声をかけ合えるような関係を維持しておけば、大きな問題になる前に、スムーズな支援へとつなげていけます」 最後に、障害者雇用におけるキャリア形成について斉藤さんに聞いた。テセックでは、障害の有無にかかわらず、雇用形態・雇用条件は同じだ。いい換えれば、ほかの社員と同じ土俵で人事評価を受けていることにもなる。「評価については、本人たちの課題や目標についてしっかり説明するようにしています。障害のある社員も3人が8~9年間勤務して中堅社員になり、実際に戦力となっていると感じています。障害の特性や業務能力、本人の意欲なども考慮しながら、それぞれのキャリア形成を図っていきたいと考えています」今後は、身体に障害のある社員らが定年に近づいていくこともあり、次の採用を視野に入れながら、特別支援学校などとも職場実習を通じて協力関係を維持していきたいとのことである。キャリア形成もあきる野市障がい者就労・生活支援センターあすくセンター長の原智彦さん9

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