働く広場2020年9月号
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働く広場 2020.9ご協力をいただき、プログラムの効果を検討しました。参加者を2群に分け、時期をずらして各群にプログラムを実施しました(以下、先にプログラムを実施した群を「介入群」、後でプログラムを実施した群を「待機群」と表記)。両群へのプログラム実施前(測定1)と介入群へのプログラム実施後(測定2)で、高次脳機能障害者とのコミュニケーションに関する知識、興味、1〜4)。アンケート調査の回答においては、プログラムに参加した後に高次脳機能障害のある社員との意思疎通がより正確になった、会話が増えた、信頼関係が強まった、といった内容の記載が見られ、プログラムが高次脳機能障害のある人の職場適応促進に寄与したことがうかがわれました。一方で、多忙な職場において時間をかけてていねいにコミュニケーションを行うことのむずかしさや負担感を指摘する声もありました。 本研究で開発したCPTプログラムは、高次脳機能障害のある人の職場の人的環境における適切なコミュニケーションに関する知識や自信、意欲を高めるために有効であることがわかりました。一方で、参加した方々の声から、プログラムの内容についてさらにブラッシュアップが必要な点が見つかりました。また、プログラムの効果の長期的な持続や、高次脳機能障害のある当事者側の視点など、今回は十分に検討できなかった点も今後の課題として残っています。 今回の研究成果は、「調査研究報告書№151」として取りまとめたほか、職業リハビリテーション研究・実践発表会などの機会を通じて広く報告することを予定しています。職場環境に働きかける支援について多くの関係者の関心が集まり、議論とさらなる研究を通じてよりよい実践につながることが期待されます。自信、意欲を測定し、介入群と待機群の得点を比較しました(知識については①、②の2つの課題を行いました)。また、各回のプログラムの約1カ月後に参加者に対してアンケート調査を行いました。 その結果、プログラムに参加した人(介入群)は、まだ参加していない人(待機群)に比べ、高次脳機能障害者とのコミュニケーションに関する知識、自信、意欲が高まっていました(図◇お問合せ先:研究企画部 企画調整室(TEL:043-297-9067 E-mail:kikakubu@jeed.or.jp)まとめと今後の課題529図2 知識の得点(課題②)図4 意欲の得点群と測定時点を要因とする2元配置分散分析を行ったところ、「知識」の2つの課題、「自信」、「意欲」において交互作用が認められ(意欲は5%水準、そのほかは1%水準で統計的に有意でした)、介入群において得点向上が認められました。※各項目の測定方法については、「調査研究報告書№151」に記載しています。(16名)(12名)(16名)(12名)(16名)(12名)(16名)(12名)図1 知識の得点(課題①)図3 自信の得点

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