働く広場2020年9月号
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働く広場 2020.91969(昭和44)年創業の「株式会社テセック」(以下、「テセック」)は、おもに半導体の検査装置を手がけるメーカーだ。米国など3カ国に現地法人を持ち、国内外の多くの企業における半導体製品の品質維持を支えている。従業員数は、212人(2020︿令和2〉年6月現在)。うち障害者が6人(身体障害3人、知的障害2人、精神障害1人)で、法定雇用率は3・3%となっている。もともと身体に障害のある従業員はいたが、法定雇用率が未達成であることを機に、2011(平成23)年から新たに障害者雇用を進めてきた。ハローワークや地域障害者職業センターなどに相談に行き、特別支援学校から職場実習生も受け入れながら、採用活動を行ってきたという。現在、テセックに直接雇用されている知的障害・精神障害(発達障害)のある従業員3人は、本社の総務人事部と経理部で事務職として勤務している。今回は知的障害のある2人の働きぶりを中心に、職場の様子を紹介していきたい。菊きく池ち純じゅん矢やさん(27歳)は、特別支援学校の都立永えい福ふく学園に在籍中、テセックでの職場実習をきっかけに、2011年に入社した。毎朝6時ごろに起床し、電車とモノレールを乗り継いで通勤しているそうだ。配属先の総務人事部総務グループでは、データ入力や名刺印刷などの事務作業と、発送・受取荷物の仕分けや後処理作業を担当している。さっそく仕事場の一つである1階の配送フロアを見学させてもらった。菊池さんは毎朝、ここに運ばれてくる大小の荷物を台車に載せ、部署別に仕分けている。各部署から集められた空き箱の処理作業も1人でこなす。配送用の緩かん衝しょう材ざいなどを素材ごとに仕分け、段ボールを解体して整理している。「むずかしいことはないです。自分で工夫しながら仕分けボックスもつくりました」と話す。その後、4階の総務グループのフロアに移ると、今度はパソコンに向かって入力作業にとりかかる。菊池さんは「学校のクラブ活動でパソコンに触れていたし、もともとゲームをするのが好きなので、この仕事も合っていると思います。もっとスキルアップできるようにがんばりたいです」と笑顔で語ってくれた。2012年に入社した平ひら野の佑ゆう樹きさん総務人事部の直接雇用からデータ入力や仕分け作業株主総会の会場づくりも担当直接雇用で知的障害者を事務系部署に配属障害の有無にかかわらず、雇用形態・条件は同じ就労支援機関との連携で就労定着と戦力化を図る123菊池純矢さんは、荷物の仕分けや段ボールの整理なども担当している総務グループで、さまざまな事務作業をこなす平野佑樹さんPOINT5

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