働く広場2020年10月号
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働く広場 2020.10できたという。グループ社員と同じフロアで勤務しているため、チャレンジサポーターが書類を持っていくこともある。毎朝、大きな声で「おはようございます」と挨拶して入ってくる姿に、社員たちからは「聞いていて気持ちがいい。自分たちが忘れていた姿勢だ」といった声が届いているそうだ。現在は4人が常駐し、忙しい午前中だけさらに2人が加わっている。常駐メンバーの1人である安やす田だ尚なお弘ひろさん(27歳)は、横浜市立二つ橋高等特別支援学校在学中の職場実習を経て入社し9年目。もともと入力業務をしていたが、経験を買われ虎ノ門チームに推薦された。「わからないことはすぐ富永さんに聞き、直すべきところもすぐ実践するようにして慣れていきました」とふり返る。富永さんは「安田さんは控えめな性格ですが、自分の作業が終わったあとも、ほかの人が遅れているのを見つけて手伝ったり、できていない作業に気づいて率先してやってくれたりします。後輩社員からも『お手本にしたい』といわれるようになりました」と明かす。安田さんは昨年末、常駐先の納会で社員100人ぐらいの前でギターの弾き語りを披露し、大いに盛り上げたそうだ。虎ノ門チームの取組みは、社内で大きな反響を呼んだ。東京海上グループで毎年開催している挑戦推進大会の「グループ総合力の部」で見事に入賞。さらにグループCEO賞の受賞も決まった。業務拡大の姿勢は、新たな受注先の開拓も呼んでいる。昨年、東京海上日動火災保険株式会社が東京都と連携して、訪日外国人向けの旅行保険つき乗車券を発売することになり、そのチケットなどを入れたパスポートキットの製作をTMBSが請け負うことになった。取引先がグループ会社ではない、初めての例だ。 TMBSでは、各部署・支社・拠点で働くチャレンジサポーター一人ひとりが「いきいきと主体的に働き続けるための成功循環サイクル」を目ざし、多面的な人材育成に取り組んでいる。「循環サイクル」は大きく四つの「質」に分かれる。①関係の質…5人に1人の指導員体制で、日ごろの声かけ、毎月のふり返りシート共有(本人評価と指導員コメント)、定期面談(3カ月に1回)によって一人ひとりの考えや思いを理解。お互いに「人」として受け入れ合う。②思考の質…チャレンジサポーターだけで完結できるような仕事の仕組み・マニュアルを指導員が作成し、作業の進捗状況やスケジュールの見える化、チームミーティングなどで、それぞれ主体的に考える環境をつくる。③行動の質…グループ社員共通の行動指針「Oアuワrー8」をわかりやすくした「基本スタンス8項目」を記したカードを全員携行。業務上で成功したときや失敗したときに、どの部分でプラス・マイナスだったのかふり返る。また各部・支社では全社員向けにSST(ソーシャル・スキル・トレーニング)研修を定期的に開催し、社内外のコミュニケーション向上に役立てる。④結果の質…年3回の指導員との面接は、考課のためではなく、動機づけや課題認識を重視したコミュニケーションの場とする。考課については評価のばらつき解消のため「人事虎の巻」を作成。①の「関係の質」向上につなげる。さらにTMBS社員全員のモチベーションを上げる取組みの一つに、『グッドジョブ賞』表彰制度がある。日々の業務上での工夫や新たに挑戦したことを各部・支社から選んでもらい、大賞1件と特別賞数件を表彰する。2017年度からは、グループ会社で行っている「マジきら会」という社内意主体的に働き続ける「成功循環サイクル」虎ノ門のオフィスで働く安田尚弘さん8

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