働く広場2020年10月号
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働く広場 2020.10見交換会を、TMBSでも社内向けに企画している。日ごろは別部署のため顔を合わせないような社員同士が10人ほどのグループに分かれ、役員や部長をファシリテーターに迎え「真面目な話を気楽にする」という。事前に『働きやすい会社にするにはどうしたらいいか』といったテーマをいくつか用意し、役員らへの質問も受けつける。結論は求めない。常務取締役で人事総務部長の石いし川かわ孝たか弘ひろさんも、この会を楽しみにしているという。「ざっくばらんとしたやり取りのなかで、思いがけず熱い思いを聞き、私が感動することもあります。会のあと、ある支社では、体調不良で欠勤している社員を心配した同僚たちが、自発的に集まり『なにかできることはないか』と議論しあったと聞きました。マジきら会が、社員同士の新しい交流や動きのきっかけにもなっていると感じています」さらに全国に広がるTMBS各現場の情報や取組みを共有しようと、2017年にWeb媒体「JINKATSU NEWS」の配信をスタート。翌年には紙媒体の社内報「スクラム」も創刊し、年2回のペースで発行している。 チャレンジサポーターが長く働き続けていくうえでは、雇用条件の充実も重要だ。もともとTMBSでは、1年更新の有期雇用の契約社員からスタートし、行動評価・業務評価によって無期雇用の特定従業員になることができる。その後は一般従業員への登用もあり、現在31人が一般従業員となっている。さらにチャレンジサポーター向けの新しいキャリアアップの道として、今年4月に「チームリーダー」と「マイスター」という新しい役職をつくった。「一般従業員になると、人事評価もシビアにならざるを得ません。新たな役職は、チャレンジサポーターがキャリアを積み重ねていく目標にしてほしいと思っています」と山下さんは話す。特別支援学校からの入社が多く、まだ社員の平均年齢も若いTMBSだが、長期的な視野に立った社員一人ひとりの課題についても検討を始めている。その一つが「チャレンジサポーターの親がいなくなった後の支援」だと石川さんが説明してくれた。「昨年の議事外の取締役会で、特定従業員に退職金制度がないことが指摘され、話し合った結果、さっそく今年4月から新設できました」役員会では、障害基礎年金の課題も出た。調査してみたところ、当時180人のチャレンジサポーターのうち受給者は60人ほどで、あとは「不明」、「未受給」だったという。ある支社で理由を調べたところ「そもそも申請していない」ケースがほとんどだった。そこで昨年、「知りたいこと勉強会」と称して社会保険労務士を招き申請方法について学んでもらったり、親や支援機関の関係者らを招いた懇談会で、「親なきあと相談室」を主宰する渡わた部なべ伸しんさん(※)に講演してもらったりしたそうだ。「本人のプライベートな生活面のことなので、会社としてどこまでふみ込むべきか悩ましい部分もありますが、しかし、生活の安定は、就労の大前提でもあります。10年20年後のことを想定し、私たちができる支援も含め、本人たちが安心して働き続けられる職場環境を整えながら、今後も引き続き、東京海上グループを力強く支えていける組織にしていきたいと考えています」できうるかぎりの取組みを進めてきたTMBSは、他企業や学校・支援機関などからの見学者を随時受け入れ、職場の工夫やアイデアを詳しく伝えている。特定従業員への退職金制度常務取締役、人事総務部長の石川孝弘さんTMBSの社内報「スクラム」※ 本誌2020年7月号の「私のひとこと」にご登場いただきました。当機構ホームページでご覧になれます検索働く広場 2020年 7月号9

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