働く広場2020年10月号
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集した。三鴨岐子(以下、三鴨) 今日はあらためて障害者問題委員会の活動についてお聞きしたいと思います。まずは、全国で見ても活動が盛んな、沖縄同友会からお願いします。比嘉ゑみ子(以下、比嘉) 私は16年前に、地元の就労支援を行う福祉施設の方たちが、行政を巻き込んで開催した就労フォーラムに参加しました。「参考にならなければ途中で帰ろう」くらいの軽い気持ちで参加したのです。そこで、特別支援学校の生徒が「企業のみなさん、僕は卒業したらお母さんを楽にさせたいので、僕を雇ってください」と大きな声で訴えたのです。その力強いメッセージに衝撃を受けました。彼らを、働ける人たちと見ていなかったことに気づきました。それまでは、「うちはサービス業だから」とお断りしていましたが、フォーラムの後すぐに、彼のような人を雇おうと思い、どんなふうに働けるのか、また就職状況はどうなっているのかを知るために、さっそく特別支援学校からの実習生を受け入れました。重複障害(身体と知的)の生徒さんが来て、まずは倉庫の整理から始めてもらいました。仕事のスピードはとてもゆっくりでしたが、新人さんはだれ国際障害者年の前年である1980年に遡さかのぼる。当時の青年経営者たちが障害者との交流を始め、「障害者を雇おう」という発想を持つのに時間はかからなかった。障害のある人たちを雇うには、何を準備し、どのような思想で取り組んでいくべきか。先輩経営者からの体験談を聞く「例会」を頻繫に開催し、雇用実践していくなかでの課題、困惑、迷いを語り合い、解決策を見出していく。もちろん一緒に働くなかで得られる喜びも共有する。1982年に「障害者問題委員会」が発足。この名称、いかにも障害のある人が問題であるかのように読めてしまうとの指摘もあったが、そうではなく、「障害者を取り巻く問題を解決する委員会」の意味である。 この委員会設立の動きは全国に広がり、1983年からは2年に一度、全国交流の大会が開催されている。昨年は「第20回 障害者問題全国交流会」(以下、「障全交」)が2日間にわたり滋賀県で行われ、全国から500人以上が参 「中小企業家同友会」(以下、「同友会」)は、全国47都道府県にある経営者の団体である。1957(昭和32)年4月、東京で日本中小企業家同友会として創設され、その後全国に広がった。全国の会員は約4万7千人。この会には企業ではなく、経営者が個人として入会する。業種、企業規模、キャリア、会員歴にかかわらず、会員は平等であり、会費も一律。すべてをとことん話合いで決めていく「自主・民主・連帯」の文化がある。私が何の準備もないまま経営者になったとき、先輩会員から会社経営を一から学ばせてもらった「学校」でもある。ここにはいろいろな委員会や、実に多くの学びの場があるが、そのなかの四本の柱が経営理念を構築し実践する「経営労働委員会」、社員とともに学び成長する「社員教育委員会」、力を合わせて採用に取り組む「共同求人委員会」、そして「障害者問題委員会」だ。今回は「障害者問題委員会」の全国の正副委員長に、座談会というかたちで、活動の歴史と今後について語っていただいた。「障害者問題委員会」の発足の動きは、中小企業家同友会は経営者の「学校」障害者問題委員会「その名前こそが問題だ」「僕を雇ってください」のメッセージ働く広場 2020.10比嘉ゑみ子さん(沖縄同友会/有限会社やんばるライフ)提供写真■座談会 障害者問題委員会 委員長 比ひ嘉がゑえみみ子こさん(沖縄同友会/有限会社やんばるライフ)障害者問題委員会 副委員長 榎えの本もと重しげ秋あきさん(神奈川同友会/ぜんち共済株式会社)障害者問題委員会 副委員長 奥おく脇わき学まなぶさん(大阪同友会/有限会社奥進システム)障害者問題委員会 副委員長 髙たか橋はし正まさ志しさん(岡山同友会/株式会社マスカット薬局)中小企業家同友会全国協議会 事務局次長 池いけ田だ泰やす秋あきさん40年以上前から障害者雇用を学び、実践する企業家集団全国の会員が相互に学び合う仕組み障害者雇用から共生社会へのひろがり123POINT21

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