働く広場2020年10月号
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の先生がいたり、お父さん、お母さんがいたり、地域に支援があるなかで、そういう人たちが一緒になって活動するスタイルの同友会が好きなんです。だから神奈川同友会でも例会をするときに、当事者本人や学校の先生に来てもらう例会を続けていくうちに、いろんな広がりができたし、それが同友会のよいところだと思います。三鴨 外に出ていくことで盛り上がっていくのですね。奥脇 同友会のなかで障害者問題委員会というのは、地域問題・地域課題をきちんと考えている。大阪府だったら児童養護施設とか、通信制の学校を訪問しています。中小企業の経営者って行動的な人が多いので、「そこが問題だ」と思ったら、わーっと行くじゃないですか(笑)。そういう機動性のよさと、地域に根ざした問題意識のとらえ方と、それをみんなで寄ってたかって「解決してやろう」という心意気。そういうところが障害者問題委員会の好きなところで、大事なところだと思います。そういう仲間がいっぱいいるというところが、ここの気持ちよさかなと思いますね。三鴨 普通に考えると会社の利益には結びつかないのに、なぜそんなにみなさんが惹ひかれていくのでしょう。奥脇 人が幸せになっていくところを実感できて、「俺も真似したいな」と思う県中小企業家同友会事務局に入局しました。新潟同友会の顧問には、渡辺トクさんがいました。3回ほど会ったことがあります。渡辺さんは障害者問題委員会のなかでも有名な方で、当時、リネン関係のお仕事をしていました。そこに親御さんが「働かせてくれ」と子どもを連れて来るのですが、雇い入れると、その後1度も会いに来なかった人もいたとか。だからその子たちのために寮を建て、最後は墓を建てて、墓碑には「捨てられしいのちかつぎて」と刻まれました。そんな渡辺さんは、福祉企業の母といわれています。 同友会が掲げる障害者問題委員会にかかわっていると、障害とは何かを考えさせられました。入局したてのころは、福祉的就労と一般就労の違い、福祉的作業なのか労働なのかの違いもわからないわけで、法律や憲法から、いわゆる労働権や、生存権の違いなど、そういうものを委員会のなかで勉強させてもらったと思います。 障害者問題委員会の活動も、この10年で東日本にも延びていき、全国に広がってきました。全国の定例委員会に50人くらい来るようになりましたし、障全交に500人が参加することも普通になってきましたよね。三鴨 私が初めて参加した障全交は大阪府でしたが、固い勉強ではなくて、本当に楽しかったですね。榎本 私は、障害者本人や特別支援学校の担当者などと一緒に私もパネリストで参加しました。まず、お互いの課題をテーブルに出し合うこと、そして、沖縄全島に根ざしていくために、毎年地域を変えてやっていこうということになり、ちょうど今年が15回目ですね。コロナの影響で延期になっておりますが、毎年ずっと続けてきました。いまは離島での開催でも参加者は100人を超え、本島でやれば300人は超えます。沖縄同友会は愚直に活動してきたことが功を奏したのかなと思っています。障害者を雇用する企業の割合が、年々増えていて、確実に壁が低くなっているのを感じます。髙橋 岡山同友会の活動は特別支援学校に行ったり、障害者を雇用する企業をどうやって増やしていこうかということが中心ですね。同友会で大事にしているのは「自主・民主・連帯」の精神です。生きるとはどういうことか、暮らしを守る、人間らしく生きるとはどういうことかを学ぶ必要がある。赤石さんは「持続可能な社会、幸せの見える社会をつくりましょう」とずっといわれたんですけど、「どんな社会が幸せなのかなあ」と。広い視点で見ていかなければいけないなと思います。池田泰秋 私は2000年の5月に新潟全国へと広がる、幸せの追求働く広場 2020.10池田泰秋さん(中小企業家同友会全国協議会 事務局次長)24

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