働く広場2020年10月号
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い中小企業が、大企業でも達成するのがむずかしいことを理想に掲げて活動しているのはなぜなのか。今回の座談会や赤石氏の著作などから、委員会の歴史をふり返るなかで気がついたのは、単にきれいごとを並べているだけではないということだ。自社が生きる地域の課題に目を向け、地域をよくしていかなければ、存続すら危うい歴史があった。戦争で個人が抑圧された体験を通し、ようやく手に入れた憲法によって保障された基本的人権、自由権、社会権を大切にしていく行動の先に、地域、社員と支え合い、幸せになろうという思いがあったのだ。 座談会では企業外の人々の名前が多くあがった。目を向けていく場所を変えさらに広げていくと、新たな視点や気づきを得られると実感できた。また、その後の委員会では、厚生労働省の小お野の寺でら徳のり子こ課長から、助成金や中小企業向けの施策についてお話があり、われわれ中小企業の可能性にも目を向けてくれていると感じた。 東京都や大阪府を基点としつつ、全国のいろいろな地域に集まることで交流を深めてきた委員会だが、最近はコロナの影響でオンライン開催になっている。時間と費用が節約できるなど、オンラインのよさもあるが、一日も早く、実際に集まり元気な顔をあわせられる日が来ることを心待ちにしている。できる共生社会を目ざしている委員会です」と答えています。全国にはまだ障害者問題委員会がない同友会もありますので、全国に立ち上げ、同友会の活動の輪を広げたいと思っています。奥脇 この活動を広げていくという考えでいうと、ここにいる人みんな、個性が違うじゃないですか。周りを巻き込んでやっていくのが得意な人もいれば、僕はそういうのが得意ではないので、自分の経営を突き詰めていく。企業の在り方、中小企業の存在意義をきちんと考えて活動・行動していく。それぞれ自分の得意な分野を活かしていけば、自然と世の中に広がっていくのではないかなと。そういうことをやり抜くことが、活動を広げることだと思います。榎本 全国の会員数も、もう5万人が目前で、認知度が高まり、社会がわれわれを受け入れてくれる時代になってきたと思っています。また、この座談会の後に開催する障害者問題委員会では、厚生労働省の課長さんが来て、施策を語ってくださる場もあります。国からも注目されるようになってきたと思っているので、ぜひこの動きを広めてもらって、仲間がますます増えていけばいいなと思います。 経営資源に恵まれているとはいえなのは、みなさんあると思いますよね。本質的に「人間の幸せってどういうことなのかな」と考えて、「こんなことをやったら幸せになれる社会文化、企業風土をつくれるのではないか」と思うところが面白いですね。三鴨 この委員会で学べることがいっぱいあるということですね。もっと増えてほしいですね。比嘉 障害者問題委員会の目的は、特別な委員会ではなくなることです。いろいろな方々を巻き込んでいかなければいけませんので、そのためにはしっかりと同友会の理念を実践していく。そして私たちが地域や社会に示していく、といったら大げさですけれども、仲間をお誘いして、活動してしっかりと経営していく以外ないと思います。特別な委員会ではなくなったときに、この委員会を継続しなくてもいい世の中になれば、と大きな理想と志こころざしを持っております。髙橋 私も岡山同友会の代表理事になって、さまざまな経営者団体や銀行、教育機関と話をする機会が増えてきました。すると「障害者問題委員会って何をしているのですか?」と経済団体から聞かれることがあります。私は、「障害者も含め、すべての人が幸せで豊かな暮らしがこれから目ざすものまとめ働く広場 2020.10座談会の後に開催された障害者問題委員会で、全国の委員向けにオンラインで行政報告を行った厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課課長 小野寺徳子さん25

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