働く広場2020年10月号
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働く広場 2020.10損害保険グループで国内最大手の一つ「東京海上ホールディングス株式会社」は2010(平成22)年、業界初となる特例子会社として「東京海上ビジネスサポート株式会社」(以下、「TMBS」)を設立した。34人からスタートした社員数は、この10年で約10倍の計336人に、うち障害のある社員も191人(身体障害5人、知的障害84人、精神障害102人)まで増えた。グループ適用5社の雇用率は2・4%(2020年6月1日現在)。東京本社をはじめ、名古屋・大阪・九州支社にも拠点を持つ大きな組織だ。東京海上グループから請け負っているおもな業務は、①書類の作成・発送、②データ入力、③機密文書の回収・シュレッダー、④販促品のノベルティー作成・販売、⑤通販文具・コピー用紙などのあっせん販売、⑥印刷、⑦社内物流、⑧重要書類・帳票・文書保存箱の保管・管理、⑨総務代行、⑩コーヒー販売、⑪清掃、と多岐にわたる。最初はデータ入力や封入といった業務だったが、実績を積み重ねながら少しずつ拡大してきたという。TMBSでは、指導員の支援体制のもとで働く社員を「チャレンジサポーター」と呼んでいる。まずはチャレンジサポーターたちが働く現場を見学させてもらった。TMBSの東京本社は、東京海上ホールディングス本社などが入る「東京海上日動ビル新館」にある。ビル内の社員食堂の一角にあるカフェでは、3人のチャレンジサポーターがフェイスシールドとマスクを着用しながらコーヒーなどを販売していた。その一人、野の坂さか瞳ひとみさん(22歳)は、特別支援学校の都立志村学園卒業後の2016年に入社。最初は印刷やデータ入力を担当していたが、2017年のカフェ業務スタートに合わせて異動してきた。もともと学校では食品コースを専攻し、校内カフェでの接客経験を買われたという。指導員を務める業務支援部第1グループ副主任の喜き屋や武たけ真ま由ゆ子こさんは「学校で身につけたていねいな言葉づかいや電話注文の受け方などは、見ていてとても頼もしく、安心して任せられます」と太鼓判を押す。野坂さんは「常連のお客さんが私を名前で呼んで挨拶してくれるようになり、やりがいを感じています」と話す一方、仕事中は「一度に3杯以上を注文されると計算や伝達が混乱します。いったんメモに書いて、落ちついて計算し、メモは同僚に渡して間違わないようつくってもらっています」という。カフェ業務は、同じ新館9階と本館11階でも出張販売店を運営し、会議室などへの注文配達も行っている。次に訪ねたのは、物流部新館分室。ここは、グループ各社に流通する書類の10010周年を迎えた特例子会社社員食堂の一角にカフェ物流部門では特殊業務も多岐にわたる業務を「社内インターン制度」で挑戦しやすく多面的な人材育成の取組みで、主体的に働き続けられる環境づくり定年後まで見据えた雇用条件の整備や社会的支援の情報共有も123社員食堂に併設されたカフェでは、会議室への配達なども行っているカフェで働く野坂瞳さんは入社4年目カフェで指導にあたる喜屋武真由子さんPOINT5

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