働く広場2020年10月号
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働く広場 2020.10近い部署への仕分けや館内デリバリー、郵便物の受発送などを担当している。この春に異動してきたばかりの矢や津づ航こう大だいさん(24歳)は、「最初は部署を覚えるのにも苦労しましたが、徐々にスピードも上がり順調です」と笑顔で話す。いまは、特殊な「郵便料金計器」を使った郵便物発送も担当している。伝票に書き込む項目が多いうえに、「料金の請求先を部署別に打ち込まなければならないので、間違わないよう指差し確認をしています」と作業を見せてくれた。同じ職場の先輩社員は「矢津さんは毎回確認をおこたらずていねいなので、いままでミスはありません」と話す。特別支援学校の都立南大沢学園を卒業後入社し6年目という矢津さんは、以前も特殊な業務を担当していた。東京海上日動火災保険に届く、どの部署宛てかわからない「不明郵便の特定作業」だ。郵便物の中身を確認し、部署につながる手がかりから探し出す。総務部に1人で出向し、「1日30件分を抱えるときもありましたが、あせらず指導員にアドバイスをもらいながら進めました。宛先が判明するたびに達成感がありました」とふり返る。矢津さんの実績のおかげで、TMBSが業務として請け負うことになり、いまは別の同僚に引き継いでいる。矢津さんの異動は、「社内インターンシップ制度」によるものだ。自分の職場以外も体験してみたいと思う全社員を後押しするためのもので、所属上司の推薦と受入れ側の承諾があれば通年で1週間から3カ月間のトライアルを実施している。顧問の山やま下した享きょう子こさんが説明する。「新たな社内マッチングも進み、物流部でもチャレンジサポーターを無理なく増やすことにも成功しました。社内インターンシップからそのまま異動するケースが多いですが、なかには『カフェに行ってみたい』と挑戦してみたものの、『思ったよりたいへんだった』と元の部署に戻る人もいます」また、物流部など一般社員も多い職場では、事前にチャレンジサポーターが自分のことを紹介する「ナビゲーションシート」を作成して、職場での配慮や理解に役立てているそうだ。 TMBSは2019年から、新たに清掃業務をスタートさせた。新宿区西落合に新しく研修所「東京海上キャリアデベロップメントセンター」が建てられたのがきっかけだ。宿泊設備や食堂もある6階建て延床面積9995㎡の研修所を、7人のチャレンジサポーターと指導員で日々清掃している。指導員を務める業務支援部第2グループ副主任の長は谷せ慶けい一いちさんは、立上げからかかわった。清掃業務を手がけるグループ会社の「東京海上日動ファシリティサービス株式会社」に協力を仰ぎ、業務手順などの助言をもらったが、「学校で清掃業務を学んだり前職で経験したりしていたチャレンジサポーターもいて心強かったですね。みんなで一緒に最善のやり方を模索してきました」という。業務は朝8時からスタート。正面玄関から外周、駐車場、公道を手分けして清掃し、カフェテリア・食堂は一斉に行う。休憩をはさみ階段、ホール、再びカフェテリア、トイレ、喫煙室、最後に庭木の水やりで午後4時に終了となる。鴨かも下した海かい斗とさん(19歳)は、清掃業務を希望して2019年に入社した1人。特別支援学校の都立永福学園在学時に、「公益社団法人全国ビルメンテナンス協会」が開催するビルクリーニング技能競技会を見学して「こんなプロになりたい」と志したという。実際に働くようになってからは、「手順がたいへんなカーペット掃除から積極的に担当するなど、苦手な領域をなくしていくよう努力しました」と話す。「どうしたらもっと効率的に、しっかチーム全員で清掃業務の最善策をはかる郵便物を仕分ける矢津航大さん。郵便料金計器を使った郵便物の発送も担当する顧問(人材育成サポーター)の山下享子さん清掃業務の指導にあたる長谷慶一さん東京海上キャリアデベロップメントセンター6

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