働く広場2020年10月号
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働く広場 2020.10りと清掃できるかをチーム内で話し合うのもやりがいがあります。たまに意見が衝突すると、長谷さんが調整してよい解決法を提示してくれます」。鴨下さんはビルクリーニング技能検定2級合格を目ざして独学で勉強しており、「来年はアビリンピックにも挑戦したい」と意欲的だ。プライベートでは小学4年生から始めた卓球で、全国障害者スポーツ大会の東京代表に2年連続で選ばれ、スペシャルオリンピックスのチームでも練習していた。上司が、東京海上グループの卓球部に所属できるよう交渉中だという。 TMBSは、清掃業務と同時に、もう一つ大きな業務委託も昨年スタートさせた。虎ノ門にある東京海上グループ本店損害第2部での事務業務だ。これまでと違うのは、4~6人のチャレンジサポーターが指導員とともに一般部署内にチームで常駐するという点だ。現場を陣頭指揮してきた業務支援部長の伊い原はら裕ゆうさんが、経緯を説明してくれた。「以前、先方の部長が、定期的に開催しているTMBSの職場見学に訪れてくれました。あるとき同部の派遣社員が不足したのを機に『こちらで一緒にできないか』という話が来たので、チャンスを逃すまいと、すぐに準備に入りました」昨年4月から業務内容の打合せが始まり、具体的な計画や異動させるチャレンジサポーターの選定準備などを進めた。7月には指導員が1週間研修し、マニュアルを作成する一方、常駐先の社員を対象に6回に分けて勉強会も開催。「それまで社内で実施してきた『障がい理解推進勉強会』のプログラムを活用し、特性の理解やサポートについて説明しましたが、あまり身構えないようにとも伝えました」と伊原さん。社内インターンシップ制度による候補4人がトライアル勤務を実施。9月から本格的な業務委託が始まった。請け負うのは、フォルダー仕分け・取寄せ・返却作業。具体的には、保険金の支払いにかかわる書類の番号を転記したり仕分けたりしてファイルにまとめるというものだが、複雑で確認事項が多いうえに、小さなミスが大きなトラブルに結びつきかねない緊張度の高い業務だ。指導員を務める業務支援部第1グループ副主任の富とみ永なが佳か代よ子こさんによると、業務を完全に任される形だったため、とにかくミスをしないよう二重三重のチェックを徹底したという。「カードの書き方も多岐にわたり、覚えるだけでたいへんです。毎朝クイズ形式で『このカードはどうだったっけ?』とみんなで確認しあったり復習したりしながら、実践で慣れていきました」とふり返る。当初は、半日で500件こなすべき作業を1日で300件ほどしか終えられなかった。ただ先方もある程度時間がかかることを理解してくれていたので、あせらず手順や確認プロセスを見直し、3カ月後には1日かからずに1000件突破常駐型のチームも誕生カフェテリアの消毒を行う鴨下海斗さん(左)鴨下さんは、アビリンピック出場を目ざしている虎ノ門のオフィスでは、チャレンジサポーター4人が常駐し、業務にあたる(写真提供:東京海上ビジネスサポート株式会社)業務支援部長、オフィスサポート部長の伊原裕さん虎ノ門のオフィスで指導する富永佳代子さん7

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