働く広場2020年11月号
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法律の整備が進んでいるが、賃金に象徴されているように、障害のある人と一般労働者の格差は現在も継続している↓障害者差別解消法の合理的配慮を基本とした賃金格差の検証3﹁働く﹂ということの評価、評価する人の育成が必要である↓障害に対する正しい認識・理解として、障害のある人が障害のない人と同等の働きをしたと判断できる基準づくり4障害の内容をふまえた仕事の創出を雇用者、従業員が一緒に考えていく↓障害のある人が行うことができる業務の組合せ5障害のある人の雇用を切り口にした自立生活実現を目的とした地域連携↓教育機関、企業、障害者福祉関係の事業所、行政の連携 障害者差別解消法の成立をきっかけにして、障害のある人の雇用において「合理的配慮」という新たな概念を、今後どのようにして具体化していくかが社会福祉の大きなテーマになっている。このコーナーでは障害のある人の雇用に取り組む企業ルポが中心だったが、今回の取材であらためて確認できた「障害のある人の格差と差別」、「自立を目的とした支援の在り方」について再考していくことが、今後も求められていると考える。みを取りやすくする」49人(20・6%)、「能力が発揮できる仕事への配置」が35人(14・7%)、「コミュニケーションを容易にする手段や手話通訳ができる者等の支援者の配置」が33人(13・9%)の順であった。これらの回答はいずれも、障害者にとって切実な願いと思われる。 また、雇用者がこれらのニーズに対して、適切な判断(障害に対する配慮ではなく、人としての配慮など)ができる基準と体制づくりを整えることも、障害のある人の雇用には必要であることを申し添えたい。 藤井さんと私は、足立学園で出会い、その後も交流を続けていくなかで、お互いの障害は異なるが、ともに「障害者の自立」について意見を交わしてきた。 社会人になってからは、特に自立に必要な経済的基盤を整えるためには「就労」は必要不可欠で、障害者就労支援への取組みを目的とした「NPO法人ワーク北九州」の設立と運営にもかかわった同志でもある。 今回の取材を通して、読者のみなさんに伝えたいことを、以下の五つにまとめた。1障害のある人の就労は、雇用率以外にもさまざまな課題がある↓例えば職場定着率など2障害のある人の人権にかかわる施策やての業務評価項目としている。 しかし、採用後早期に退職した従業員のなかには、会社内の基本的ルールを守れず、その理由を自らの障害のせいにする人が多かった。このことは藤井さん自身が障害のある立場から考えてみても理由として認められず、厳しい言い方をすれば「甘え」とも感じられ、湯朝さん、葭原さんと相談しながら対応したそうである。 ②に関しては、障害のことを知らない人や、障害のある人をどう理解して、どのようにかかわればいいのかわからない人が多いことは、昔から変わっていないように私は感じている。 また、2016年に神奈川県で起きた「やまゆり園事件」から、障害のない人の障害に対する価値観の変化、多様化も危惧され、障害に対する理解は社会全体で取り組まなければならない重要な課題であると、藤井さんと私の意見が一致した。 一方、障害のある従業員は、就労についてどう感じているのかを最後に触れたい。2016年3月に東京都障害者社会参加推進センターが発表した「障害者就労実態調査アンケート結果」のなかで、「問19あなたは障害者が生きがいを持って働けるために、現在の職場に望むことは、次のどれだと考えますか。主なものを3つ以内で選んで下さい。(重複回答可)」の回答結果を紹介する。 多かったのが、「体の調子が悪い時に休終わりに働く広場 2020.11モニターには東京や熊本のオフィスの様子が映し出されており、デスクはパーテーションで区切られている25

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