働く広場2020年12月号
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働く広場 2020.12移行支援事業所や家族とも相談し、「3年間は続けよう」とがんばったが、その後も仕事内容や職場環境が変わらなかったことから、転職を決めたという。あらためて、リクシルで働き始めてよかった点を聞いてみた。「一番は人間関係です。リーダーの方たちの面倒見や、仕事の教え方が素晴らしいと思っています。NIJIにはさまざまな障害のあるメンバーがいますが、みんな和気あいあいと過ごせているのもいいですね」いまは、後輩メンバーにメール便業務を教えるためのマニュアルを作成しながら、エクセルの勉強もしているそうだ。「(コロナ禍の)在宅勤務を機に、思い切って自分のパソコンも購入しました。パソコン操作のスキルアップとともに、メール便業務のスペシャリストを目ざしています」と語ってくれた。 神じん海かい夜やさん(24歳)は、東京都立白しら鷺さぎ特別支援学校在学時の2週間の実習がきっかけで、2015年に入社した。実習のときは、事務補助や入力作業などを経験した。「自分はもともと体力に自信がないので、事務系の仕事を希望していたことと、パソコンのスキルを学びたいと思っていたのでリクシルに応募しました」とふり返る。入社後も最初は入力作業や封筒カッティング作業などを担当していたが、徐々に名刺印刷業務で封入やラベリング・発送作業、データ管理作業なども任されるようになってきた。これまで苦労したことについて聞いてみると、「担当する作業量が多かったときに、決められた期間内に終わらせられるかどうか不安になったことがあります。そのときにはリーダーに『限界です』と相談して、枚数などの上限を決めてもらうことができました」日ごろの職場について「明るい雰囲気で、みんな仲よしです」と教えてくれる神さんは、最近は自身のスキルアップにも力を入れている。エクセルの勉強のほか、英文翻訳にも興味を持ち始め、独学で挑戦しているそうだ。インタビュー中、神さんは「自分は緊張しやすくて、人見知りで……」とくり返していたが、2年前に本社で開催された家族参観イベント「ファミリーデー」では、ブラインド(視覚障害)体験会の司会進行役に抜てきされた。その様子を聞いた神さんの学校時代の恩師が「彼がこんな姿を見せるようになるとは」と感動していたそうだ。神さんも「最初にリーダーからいわれたときは、断ろうかと悩んだのですが、でも一歩前進してみようと思って、がんばりました」と笑顔でふり返っていた。 最近は、商品開発でもNIJIの社員が活躍している。リクシルが2018年に商品化した車いす対応のシステムキッチン「Wウェルell Lライフife」だ。その開発段階から協力を依頼されたのが2014年入社の野の村むら絵え梨りさん(34歳)。開発グループの担当社員にインタビュー形式で、通常のキッチンの不満や要望などを伝え、サンプル商品ができたあとはイベントの司会進行役で前進商品開発に協力も神海夜さんは、印刷した名刺の発送やデータ管理などを担当する神さんが司会進行役を務めたファミリーデーのブラインド体験会(写真提供:株式会社LIXIL)8

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