働く広場2020年12月号
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働く広場 2020.12の社員の調子の波がよくわかります。また、面談などの対応やその後の変化などの記録とリンクさせると、社員それぞれの“カルテ”ができていきます。このような記録の蓄積は、経験の浅い相談員にも役立つ、部署全体の大きな財産です」 また、社員からの相談などは、複数の相談員で対応するようにしています。 軽微な相談は、あえてオープンな場所で聞き、判断に迷うときは隣席の相談員にも意見を求めます。 その後、相談内容は、相談員全員で共有します。安倍さんは「ひとりで判断しないことも、方針のブレを防ぐことにつながります」と強調します。 新しく相談員になった社員は、業務手順、個々の特性に加え、障害そのものについても勉強しなければなりません。資料などは用意されていますが、多忙な業務と並行して進めることになります。 「何か困ったときは、迷わず先輩に聞いてほしい。現場で学ぶことがたくさんあって、先輩には、そうした経験値が蓄積されていますから」 センター長の渡辺さんによれば、「弊社に、『コ・ワークラボセンター』が設置されたことにより、『障害のことをわかるプロがいる』、『障害のある社員への対応に困ったら、経験豊富な相談員である安倍さんたちに相談すればいい』という安心感が、社内全体に生まれた」といいます。 最後に安倍さんは、今後について、こう語ってくれました。 「この人はこんなふうに仕事ができると、周囲にアピールすること、仕事の割りふりの仕方で障害のある社員にやりがいを持ってもらうことも相談員の役割です。センター外の部署で、サポートなく業務をこなす社員も出てきていますし、みんなの憧れになるような活躍をする社員も出てくるなど、可能性が広がっています」ます。そのほかの相談員は、障害のある社員と一緒に業務をしながら、作業内容とその社員とのかかわり方の両方を覚えていきます。 障害のある社員を支援する場合、どの相談員が担当しても方針が一貫していることが重要です。そのため、マニュアルを整備しています。また、マニュアルの内容に不都合が生じた場合は、会議を開き、改訂内容を検討します。相談員の個人的な見解で変更することが、方針のブレにつながるからです。 障害のある社員の職域が広がったことで、各相談員が離れた現場にいることが多くなり、相談員同士が直接顔を合わせる機会が減ったため、報告は「Sスラックlack」というコミュニケーションツールを利用しています。日々の出来事をすぐに共有し、伝達漏れを防ぐことが目的です。 例えば、挨拶時の表情や声のトーンなどで、「何か元気がない」と安倍さんが感じた社員がいたら、「少し気をつけて様子を見てほしい」などの申し送りをしています。こうしたベテランならではの気づきは、だれもが同じようにできるわけではないので、このツールでそれを補っています。 それ以外にも、社員の身体的・精神的な状態を把握し、一人ひとりの社員の全体像をきめ細かくとらえるため、「自己申告シート」も活用しています。毎日、自分の体調・気分・睡眠・やる気を、それぞれ「マイナス2」から「プラス2」までの5段階で自己採点し、記録します。 「長期間続けていくと、例えば『春に体調を崩すことが多い』といった、そ相談員が同じ方向に向かって相談員の存在が安心感にコ・ワークラボセンターで、それぞれの業務に励むさまざまなオフィスサポート業務をこなす11

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