働く広場2020年12月号
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働く広場 2020.12「いらっしゃいませ」の手話で迎えてくれた綿引宏さんの夢は、自分のハンバーガーショップを持つことだ東京都文京区に、公用語を“手話”と“筆談”とするスープカフェがある。それが「Sソーシャルocial Cカフェafe Sサインign wウィズith Mミーe×ベリーベリースープ」だ。ここでは、聴覚障害のある人が手話を使って働いている。「一般社団法人ありがとうの種」代表理事で、自身も聴覚障害のある柳やなぎ匡まさ裕ひろさん(48歳)が「当事者による雇用の場をつくりたい。障害者が『ありがとう』といわれる社会を実現したい」という思いから、2011(平成23)年12月に同店をオープンした。現在では、障害の有無に関係なく手話を楽しみ交流するカフェとして親しまれている。働き始めて5年目の綿わた引びき宏ひろしさん(26歳)は、「手話が公用語のカフェで働くことで、仕事の厳しさを学びました。以前アルバイトをしていた飲食店では、『指示が聞こえないから間違えても仕方がない』という認識が自他ともにありましたが、ここでは、それは通用しません。働くということへの考えが変わりました」と語る。店長の岡おか本もと記き代よ子こさん(43歳)は、「手話でコミュニケーションがとれる職場で働きたいという思いがありました。このお店は“話が見える”働きがいのある職場です」と話す。文京区役所や東京ドームに近いという場所柄、客層は幅広いが、岡本さんによると、聴覚障害のある人が働いていると知らずに訪れたお客さまも、手話で話しかけると、すぐに理解して、写真入りのメニューやサインボードの指さし、電子メモパッドなどを活用して注文や会計を済ませるという。柳さんは「コロナ禍かの影響で創業店舗の本郷店を春日店に移転統合しました。雇用の場が減ったことは残念ですが、お店はまたつくれます。テイクアウトやデリバリーに力を入れて、コロナ禍を乗り越え、手話者が輝く場所を増やしていきたい」と前向きだ。16

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