働く広場2020年12月号
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 しかし、それらの業務のすべての領域で受注量が著しく減少しました。特に、マッサージやカフェなどの対面接客がともなう業務は、すべて中止に追い込まれました。また、事務処理系の補助業務や事業活動に密接に関連した業務も減少しました。 その一方で、在宅勤務の社員がいる企業が6割超ありました(図1)。ですが、その実情は、実際にテレワークとしてになう業務が十分に提供されているとはいえない状態であり、自己学習をともなう自宅待機にならざるを得ないようです。   ほとんどの企業は、障害のある人の雇用を維持することを最優先の課題としています。ですが、有期雇用の場合は期間の満了で雇用関係を解消するところもありました。 給与も通常通りに支払われており、経営的には難局に直面しているなかでも社員の厚生を第一と考える姿勢は変わっていませんでした。ただし、月給制の社員は通常通りの支給額ですが、時給・日給制の社員の場合には、就労時間の減少にともなって所得が減少しています。そのため、低下した所得に対する補償をする企業もありました。上回ることが報告されました。特に、4月に緊急事態宣言が発出された後の5月には221人、6月には206人と、いずれも前年同期の1・5倍を超えました。また、求人数、就職件数、就職率も前年同期より減少しています。 こうした新型コロナウイルスの感染拡大による障害者雇用の実際について、「一般社団法人障害者雇用企業支援協会(SACEC)」は、特例子会社を中心に5月の緊急事態宣言が発出されている状況での調査を行い、92社から回答を得ました。そのおもな結果は、次の通りです。 緊急事態宣言が発出された以降も、8割以上の企業では出勤による勤務形態が続いていました(図1)。親会社などの業務受託先が在宅勤務に移りつつあるなかでも、出勤が必要な業務(例えば、配達物関連業務、清掃、印刷など)があることから、出勤時には、出社前の検温(体調確認)、消毒やマスクの着用、ソーシャルディスタンスの維持、会議の自粛など、通常のコロナ禍かへの対策をしながら、業務を継続しています。 新型コロナウイルスの感染拡大による障害者雇用の落ち込みは、就職氷河期(1993~2004年)、リーマンショック(2008~2010年)、東日本大震災(2011年)に続く、たいへんな状況にあるといわれます。事実、労働政策審議会障害者雇用分科会の資料(7月31日付)では、2020(令和2)年2月から6月までに解雇された障害者は1104人となり、前年同期より152人はじめに1.実態調査業務の現状(1)雇用の維持(2)働く広場 2020.12一般社団法人障害者雇用企業支援協会によるアンケートの報告書緊急事態宣言中は、多くの企業で在宅勤務や自宅待機を実施SACECの調査から、コロナ禍におけるさまざまな課題が見えた今後はITなどの活用により、障害のある人も働きやすい環境になる可能性も123POINT21

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