働く広場2020年12月号
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 また、障害のある社員については、「H定着状況の悪化」と「I業務遂行力の低下」について「(やや)そう思う」という回答は22・8~26・0%でした。むしろ、「G採用計画の停滞」が生じることに「(やや)そう思う」が55・5%と高い回答でした。   この調査結果を受けて、調査を実施したSACEC理事長の畠はたけ山やま千ち蔭かげさん、常務理事である石いし崎ざき雅まさ人とさんにお話をうかがいました。  石崎 この調査は、緊急事態宣言の発出以後、4月半ばあたりから、協会員の企業が他社の状況を知りたいとの要望が高まるなかで実施したものです。社会全体の生産活動と障害者雇用への影響に対する見通しへの不安と緊張感が高まっている最中に行われたものでした。さらに、調査時から半年を経過して、新型コロナウイルスの感染防止と産業活動の併存が重要な課題となっている最近の状況をふまえて、第二次調査を準備しているところです。 当初の予測では、企業は厳しい状況に置かれていると予想していたのですが、また、こうした社員に対する支援は、通常上司や支援員が中心になっているのですが、就労支援機関に支援を求める場合も少なくありません。   調査の行われた5月下旬の時点では、今後のあり方について図3のような回答がありました。 受託業務に関する展望では、「B受託業務の全体量の減少」で「(やや)そう思う」が34・7%、「A受託業務の一部の喪失」と「C契約金額の縮小」では、20・7%の企業が同様の回答をしていました。反対に、「(あまり)そう思わない」は55・5~68・5%でした。その一方で、「F在宅業務の拡大・定着」に「(やや)そう思う」が33・7%、「E受託業務の領域の拡大」では17・4%の企業が「(やや)そう思う」と回答し、反対に「(あまり)そう思わない」が48・9~52・2%でした。業務の将来展望には楽観的とも悲観的ともいい難い見通しを立てていることがうかがえます。 そうしたなかにあっても、「D親会社や業務受託先の障害者雇用に対する理解やマインドの低下」に対しては「(あまり)そう思わない」が76・1%と高く、受託先企業の障害者雇用への理解に信頼を置いているようでした。図1に示した在宅勤務といっても、実際には、テレワークそのものを実施している企業と、自宅待機に近い企業があり、後者のほうが多いという結果でした。 在宅勤務を実施した企業の大半は、テレワークとして提供できる仕事が十分ではなく、業務の創出に苦労しているということです。従事している仕事の多くは、緊急事態宣言が発出される前から取り組んでいた内容でした。 業務の創出や提供がむずかしいために、むしろ、在宅を自宅待機として位置づけ、自己啓発の機会として課題学習を提供してその習得を義務づけることが行われていました。また、これを、社員の就労意欲の維持を図る方法として活用する企業も少なくありませんでした。 こうした在宅モードにある社員に対しては、図2に示すように、さまざまなマネジメント上の働きかけをしていますが、在宅勤務や自宅待機を実施している企業の半数では、社員の一部にメンタル不調の人が出現していると回答しています。 在宅モードにある社員のメンタル不調の背景には、家族が不調に陥おちいりその影響を受ける場合や、報道などで不安を掻かき立てられる事例も少なくないようです。  2.担当者の視点在宅事情(3)今後のあり方(4)調査結果の感想(1)働く広場 2020.1223

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