働く広場2020年12月号
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働く広場 2020.12「株式会社LIXIL」(以下、「リクシル」)は、2011(平成23)年に国内5社が統合し、国内外16カ国に工場を持つ住宅設備業界の最大手メーカーの一つだ。障害者雇用については、それまで各社で直接雇用されていた社員がそのまま勤務し、採用も各拠点で個別に行っているという。特例子会社をつくらず、代わりにグループ全体の推進部署として「障がい者雇用推進室」を設けた。その後、2014年に本社敷地内に建てられたNニジIJI棟に、障がい者雇用推進室の機能が移転して『障がい者就労センター「LリクシルIXILWウイングINGNニジIJI」』(以下、「NIJI」)が誕生した。おもに本社部門の採用や業務、管理などを担当するほか、全社的な障害者雇用を推進する支援拠点として、各地の人事総務担当者とも連携している。リクシルの障害者雇用の実人数は、2020(令和2)年6月1日現在で315人(身体障害193人、知的障害81人、精神障害41人)で、障害者雇用率は2・33%。NIJIに在籍している障害のある社員は36人(身体障害20人、知的障害11人、精神障害5人)となっている。NIJIの責任者で、リクシルHヒューマンumanRリソースesources部門ヘルスケア・障がい者雇用促進プロジェクトのプロジェクトマネジャーを務める富とみ井い晃あきらさんが、これまでの障害者雇用の経緯について説明する。「私たちはもともとメーカーということもあり、工場での採用を中心として障害者雇用を進めてきました。その後、間接部門や営業部門にも採用が広がっていきました。リクシル本社内では以前から、名刺印刷などを障害のある社員たちで担当してきた経緯もあり、NIJIがその業務を引き継ぎながら、より多様な業務拡大に力を入れてきました」具体的には、印刷・発送(研修資料や会社案内、販促資料、アンケートなど)、データ入力(経費管理、販売管理など)、名刺作成、書類のPDF化、社内便(メールセンター部署間)、他部署への派遣型のデータ入力・受発注、そのほか(試験材製作・商品開発協力など)といった内容だ。なかでも名刺作成は、いまでは全国の2万人以上の社員分を受注から梱包・発送まで一貫して引き受け、柱の業務となっているという。NIJIは特例子会社ではなく、あくまで社内の部署の一つであることから、売上げや利益を追求する必要はないが、「部署の担当者から『外注するより安く済みました』と喜ばれると、あらためてNIJIの価値を認めてもらっていると実感します」と富井さんは話す。東京都江東区を流れる横よこ十じっ間けん川がわのそばに位置するリクシル本社は、計4棟のビル建物で成り立っており、それぞれKカゼAZE棟、HヒIKカARリI棟、HホシOSHI棟、NIJI棟と呼ばれている。NIJI棟は、延床面積400㎡近い木造平屋建て。バリアフリーを基本に、音や光も含めて配慮できるよう設計されたそうだ。ドアはすべてスライド式で、ベッドを置いた休養室や自然光を活かした休憩所も設けた。フロア内はパステル・アースカラーで、やわらかな色を基調としている。さらにフロアの奥には遮音扉で仕切られた部屋をつくり、印刷機など音がする機器類を集約した。フロア内のデスクは、お互いの障害理解を進めるため、異なる障害特性のメン就労センターを拠点に直接雇用バリアフリーの平屋建て特例子会社をつくらず、就労センターを支援拠点に特性や能力によって一般部署への派遣型も商品開発や社内研修にも活躍の場を広げる123ヘルスケア・障がい者雇用促進プロジェクトマネジャーの富井晃さん障がい者就労センター「LIXIL WING NIJI」POINT5

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