働く広場2020年12月号
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働く広場 2020.12バーを混在した配置にしている。NIJI内の企画・管理責任者を務める、ヘルスケア・障がい者雇用促進プロジェクト障がい者雇用グループ主幹の和わ多た田だ幸ゆき夫おさんが説明してくれた。「定期的に席替えをすることでリフレッシュするとともに、お互いの障害理解を促進しています。障害特性によって窓際やフロアの奥の席にするなどの配慮はしていますが、『同じ職場で働く仲間として、ほかのメンバーの障害も理解する』という意識も大事です。席替えの効果として、例えばずっと引っ込み思案だったメンバーが、ある日突然、自分から話しかけられるようになったり、手話で会話をする努力を自主的に始めるなど、コミュニケーションの変化を感じることがあります」 バリアフリーを目ざして設計されたNIJI棟だが、使っているうちに課題が見つかることもあるそうだ。まずは多目的トイレ。もともと竣工当時は1カ所だったが、中庭部分を改修して2カ所増やした。というのも、職場には車いすユーザーや内部障害者など多目的トイレを必要とするメンバーが何人もいるため、トイレが空かずに困っている様子が見られていたという。しかも、車いす向けには少し窮屈な広さだった。新たに増やしたトイレは、十分な広さを確保した。また職場フロアに入るときの自動ドアも、センサーの反応する距離が短いことがわかり改修した。ソフト面の課題についても聞くと、ポールハンガーの利用に関するエピソードを教えてくれた。玄関脇にあるコート掛けコーナーは、車いすユーザーに届かないため、要望を受けて専用のポールハンガーを当初から置いていた。だが、いつのまにか、カバン掛けとして使用されてしまっていたという。和多田さんは「私は2年前に着任しましたが、ポールハンガーはカバン掛けだと思っていました。レイアウト変更を検討する際、車いすのメンバーと話をしたところ『実は……』と教えてもらって初めて気づきました。引継ぎがうまくできていなかったのかもしれません」とふり返る。車いすのメンバーも「みなさんが仕事で使っているカバンなので、そちらのほうが重要だなと思い、いい出せませんでした」と明かす。現在では、ポールハンガーも本来の目的で使用されている。またこれ以降、リーダー間の情報共有はメールや毎週のミーティング、グループ内SNSなども活用し、コロナ禍かでも途切れないようにしている。最近では、NIJI棟前の通路のアスファルトに水たまりができていることに気づいたリーダーが、「車いすでは通りにくいだろう」と改修指示をした。「メンバーはつい遠慮しますから、周囲が率先して気づいてあげられるよう心がけています」 NIJIは、障害のある社員に特化した職場として、ハード面・ソフト面で配慮された就労環境と細やかな支援をしながら、社員一人ひとりが力を発揮できる業務の見極めと拡大を進めてきた。なかでも日々の業務運営で大きな要の存在となっているのが6人のリーダーだ。NIJIでは、メンバー全体の業務管理を、6人のリーダーが一緒になって取り組んでいる。各リーダーと数人のメンバーでチームをつくる、というわけではなく、NIJIが担当することになった業務内容に合わせて一時的なチームをつリーダー6人がメンバーを支援多目的トイレの増設NIJI内の企画・管理責任者を務める和多田幸夫さん間口の広いスライド式ドアは、車いすでも通過が容易だ休憩室の大きな窓は、社員のリフレッシュにも一役買っているバリアフリーなフロアは、デスクもゆったり配置されている6

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