働く広場2020年12月号
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働く広場 2020.12くっていくやり方だ。場合によっては、一人のメンバーが複数のチームに属することもある。仕事の流れは、以下の通り。まず本社やグループ会社からの業務依頼の受付窓口はメールに1本化されており、受付時に業務内容を各リーダーが共有できるようになっている。そして業務の難易度や納期、負荷状況などを協議し、担当メンバーを決める。このとき、メンバーの『いまできること』だけでなく『チャレンジ』目線でも判断し、成長の機会としているという。業務完了までは担当リーダーが確認しながらフォローしていく。メンバーが、本人にとって適切な負荷で、さまざまな業務を経験し、その都度達成感を得ながら成長できるよう図っている。メンバーの勤務時間は5パターンを設定。始業は8時半~10時、終業は16時~17時20分までと幅を持たせている。過集中や注意力散漫を防いで就業リズムを整えるために、休憩時間は固定して一斉に取り、ラジオ体操も行っている。「特に、特別支援学校などから入社してきた就労経験のない若いメンバーには、働くリズムを整えることが重要です」と和多田さん。また、一人ひとりに合わせた仕様の日報で、メンバーそれぞれが日々の行動をふり返っている。担当リーダーとメールで日報をやり取りするなかで、小さな成長や課題点、目標などを確認し合う。さらに、リーダーが中心になって「働く目標」や「気持ちの発散方法」などをテーマにしたワークショップも定期的に開催している。あるときは『チームワークと達成感』をテーマに、全員でチームビルディングゲーム「マシュマロチャレンジ」に挑戦した日もあったという。「企画運営するリーダーたちは特に専門知識があるわけではありませんが、個人的に関心を持ったことについて手探りで情報収集しながら、みんなでアイデアを出し合いトライしてみるという感じです。リーダーの多様性も活かしたいと考えています」と和多田さんは説明してくれた。 実際にNIJIで働くメンバーにもインタビューに答えてもらった。まずは入社5年目になる窪くぼ川かわ潤じゅんさん(28歳)。昨年9月まで本社内のメールセンターで宅配物の仕分けや連絡作業を担当していたが、そこでつちかったスキルを活かし、いまはNIJI内の郵便・宅配物の発送や配達の業務などを任されている。「相手先の会社に発送する郵便物の数え間違いや、社内便の投函ミスがないよう気をつけています。書き漏れなどないよう確認作業にも目を光らせています」と説明する窪川さんに、そばで聞いていた和多田さんは「彼の几帳面さが活かされていますね」と補足してくれた。高校時代に陸上部に入っていた窪川さんは、趣味もランニングや駅伝観戦というほど走ることが好きだという。「配達業務は自分のフットワークの軽さを活かせているなと思います。部署の人たちに少しでも役立てたとき、やりがいを感じます」窪川さんは以前、生命保険会社で3年半働いていたそうだ。「その職場では、書類のスキャニング業務を担当していたのですが、ほかの障害のある社員と2人で、ずっと座りっぱなしの仕事でした。一般の社員さんたちと同じフロアにいましたが、自分たちだけが浮いているというか、周囲から『面倒くさい感じ』に思われているような気もしていました」と明かす。世話になっていた地元の就労几帳面さやフットワークを活かすメール便業務のスペシャリストを目ざす窪川潤さんは、後輩のためにマニュアルづくりもしているメールセンターから郵便物を運ぶ窪川さん増設されたトイレには、社員の声を取り入れた7

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