働く広場2021年1月号
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働く広場 2021.1が自己紹介する。社員と共通のゲームや趣味の話で盛り上がり、その後も社内で交流が続いているそうだ。ここで一気に人脈を広げたのが2016年入社の武たけ内うち秀ひで徳のりさん(23歳)。ほかの部署の社員たちから「ひで」と呼ばれ、朝の出社時も多くの社員と挨拶を交わしたり昼食を一緒に楽しんだりしているという。コミュニケーションの達者ぶりには杢谷さんも、「外国人の仕事仲間ともジェスチャーを織り交ぜながら会話しているのを見て、驚きました」と舌を巻くほどだ。また、毎週水曜日に実施する定時退社をうながす社内アナウンスを、コラボセメンバーが交代で担当している。2017年入社の谷たに口ぐち里り佳かさん(22歳)は、もともと人見知りで自分から話しかけるのが不得意だったそうだが、アナウンスに挑戦したあと、社内で多くの社員から「今日のよかったよ~」とほめられたのが自信につながっているという。「次の順番が楽しみです」と笑顔で話す。さらに、メンバーを輩出してきた特別支援学校についても知ってもらおうと、「カフェ企画」を定期的に開催している。校内で喫茶実習を行っている生徒たちが、ランチタイムに休憩スペースで、ハンドドリップのコーヒーと生徒手づくりのお菓子を販売。使う豆はグループ会社から提供されている。最近新たに始めたのは、社員食堂のお弁当のデリバリーサービス「コラボDeli」だ。注文受付けから食堂への連絡、ランチタイムに合わせた各部署への配達、代金引き落とし処理までを一括して担当している。平岡さんは「メンバーの顔を覚えてもらうだけでなく、注文時のメールや電話が、ビジネス対応の練習にもなっています」と手応えを語る。 毎年12月にコラボセが主催する「成果発表会」もアピールの機会となっている。業務依頼元の部署やグループ会社、人事部、母校の先生、支援機関の関係者らを100人ほど招き、メンバー全員が一人ずつ「今年がんばったこと、できるようになったこと、来年がんばりたいこと」を発表。さらに、本人と接点のある社員からコメントをもらう。2019年の発表会で、「挨拶ひとつ、一生懸命な姿勢ひとつが周りの空気を変えられるのだと実感した。全社員に聞いてもらいたい」という感想を寄せた京橋事業所の課長が、「うちの部署でも一緒に働いてほしい」と申し出て、現在2人のメンバーが交代で京橋事業所に出張している。2人が事業所内で「これからメール便に行ってきます」などというたびに、社員も「行ってらっしゃい」と返すようになり、部署全体での声かけ習慣が広まっているという。さらに2020年1月には、世界中からマネジャー2千人が集まったサントリーグループ総合会議で、コラボセのセンター長を務める南なん部ぶ有ゆ香かさんが登壇した。会場で見守っていた平岡さんによると「発表のあと、大きな感動に包まれたような不思議な雰囲気になりました」という。その直後に挨拶に立った佐さ治じ信のぶ忠ただ会長も、「今日の会議は、これまでで一番すばらしかった」と語ったほどのインパクトだったそうだ。南部さんは「この会議での発表は、幅広い社員にコラボセの活動を伝える機会になりました。それでもまだ、メンバーと接点を持つ社員と持たない社員の間で、感度の差があると感じています。拠点を増やしながら、一体感のあるダイバーシティを熟成させていきたいと思っています」と語る。その実践の一つが、コラボセによるグループ各社の障害者雇用支援だ。現場担当者への業務ヒアリングから、特別支援学校と連携しての実習・採用活動、入社後のフォローまでサポートする。支援内容を知ってもらうため、まずは全国のグループ会社の人事担当者が一堂に集まる会議でコラボセについて紹介し成果発表会をきっかけにPOPの封入を真剣に行う武内秀徳さんは、「いろいろな人と出会いたい」と語る値札のカット作業を担当した谷口里佳さん。ていねいな仕事を心がけている10

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