働く広場2021年1月号
13/36

働く広場 2021.1た。興味を持った10社ほどの人事担当者向けに、知的障害のある社員と一緒に働く「勉強会」を開催したところ、「こんなに多くの業務を任せられるのか」と驚かれたという。そこから採用に向けて動いた会社も少なくなかった。一緒に働いてみることが一番の近道ということで、メンバーのトライアル派遣も行っている。山梨県にあるグループ会社のワイン用ぶどうの収穫に出向いたこともあるそうだ。これまでサポートに入った会社では、すでに数人の新規採用が決まっている。  コラボセは、メンバーのサポーター役である出身学校や支援機関、家庭との連携も重視し、情報交換や交流を続けてきた。毎年の恒例イベントとして、コラボセメンバーをはじめ関係者らを招いた、工場見学や美術館へのツアーも好評だ。2020年は、特別支援学校の新任教員の実習受入れと、保護者を招いた職場見学・交流会の開催も企画した。平岡さんが話す。「メンバーの働く姿を見ていると、経験を通してどんどん成長しますし、そのポテンシャルには限界がないと実感しています。保護者のみなさんには、ご家庭でもお子さんたちの可能性を信じて強みを伸ばし、さまざまなチャレンジができるようなサポートをしていただきたいと思います」 社内キャリア形成も含め、成長しながら長く働き続けていけるようにと、コラボセでは入社後も学び続ける習慣を持つ機会をつくっている。毎年1月にコラボセの全員が「学ぶテーマ」を決め、月ごとに進捗状況をフィードバックしている。ちなみにスタッフは英検やTOEICの点数アップ、メンバーは本の読破や漢検、英検への挑戦などを目標に掲げている。2020年には「コラボセおもしろアカデミー」と称した社内講座もスタート。グループ会社の社員に依頼し、自由なテーマで話してもらっている。「エクセルの関数」、「ビールの基礎知識」、「外食チェーンを知る」といった仕事に関するものから、「インドを知る」、「中国を知る」といった視野を広げるものまで多種多様だ。コロナ禍でも月1回、オンラインで続けている。次回はオーストラリアに勤務する社員と結んで話してもらう予定だ。 サントリー社内におけるコラボセの影響力について、千さんが「私自身も彼らに触発されて、部内で挨拶するようになった一人」と明かしつつ、あらためて語ってくれた。「彼らの成長は、当初の予想をはるかに上回っています。個人差も、得意不得意の違いもありますが、全員が新しいことにどんどんチャレンジしていく様子に、周りの社員も刺激をもらい、勇気づけられ、人として成長する機会を与えてもらっています。日々、交わることで相互に成長しているなと実感しています。これは、本当にとても大きな影響です」コラボセのような機能・拠点を全国各地に広げつつ、メンバーの長期雇用に向けた環境整備も進めている。そのなかの一つが、無期雇用制度である。さらに、昇給やリーダー手当など役割に応じた給与制度も導入し、2020年に、勤続年数が丸5年経ったメンバー4人を無期雇用契約に切り替えた。千さんはいう。「彼らを採用する以上、彼らの人生に責任を持つということをさらに明確に示していきたいですね。サントリーで働くことで幸せになれるよう、そして私たちも彼らに働いてもらうことで強くなる、そういう関係性を築きながら組織を大きくしていけたらと考えています」サポーターとの連携活動学び続けるための機会も長期雇用に向けた環境づくりグループ会社の社員が講師となる「コラボセおもしろアカデミー」の様子(写真提供:サントリービジネスシステム株式会社)社内にお弁当を配達する「コラボDeli」は大好評。リピーターも多いそうだ11

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る