働く広場2021年1月号
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株式会社大京(東京都渋谷区)【取材先プロフィール】◆業種不動産開発・販売、都市開発など◆従業員数 (2020年11月1日現在)591人のうち、障害者は51人(精神障害〈発達障害〉19人、身体障害13人、 知的障害19人)◆障害者職業生活相談員数 4人働く広場 2021.1 「これは、あくまでAさんの特性ですが、話をよく聞くと、必ず仕事以外のストレスや、眠れなかった、など何か原因があります。Aさん自身も困るし、周囲も気が散って仕事ができません。特に当社ではパソコンを共有しており、『爪かみ』があると、感染症のリスクがあることも説明し、どうしたらよいか一緒に考えました」 大切なことは、行動をコントロールする必要性について、必ず理由を含めて説明し納得してもらうことと、青野さんはいいます。 「『普通、こういうときにはこうすべきでしょう』といってしまいがちですが、じつは『普通』が一番むずかしいのです。『なぜならば』という根拠を、何も伝えていないからです」 青野さんは、くり返し指導し、その都度Aさんにメモを取ってもらいましたが、Aさんは声かけだけではなかなか自分の癖に気づけなかったそうです。そこで、青野さんは支援者に相談し、Aさんの承諾も得たうえで、「癖が出たら気づくように、Aさんの肩をトントンとタッチする」と約束事を決め、その通りに実行しました。 「しばらくすると、私が席から立ち上がっただけで、癖が出ていることに気づいてやめるようになりました。癖をなくすことはできませんが、納得すれば、コントロールすることはできます」 発達障害のある社員の支援で、青野さんは次のようなことを心がけています。1職場のマナーの支援 「あいさつ、身だしなみ、物の受け渡しの動作などで目についたことがあ 株式会社大だい京きょうには、同社および子会社の業務を支援する「ワークサポート課」があり、障害のある社員約50人と、サポート担当者6人が在籍しています。サポート担当者のうち、現在は4人が障害者職業生活相談員(以下、「相談員」)の資格を取得しており、ほかの2人も順次取得する予定です。なかでも、今回お話をうかがった青野康子さんは相談員の資格に加えて、企業在籍型ジョブコーチの資格も持つリーダー的存在です。 ワークサポート課は2011(平成23)年10月に、障害者の能力を活かしながら他部署の業務を支援するために発足しました。当初から発達障害のある社員が多く、いまは障害のある社員の約4割を占めています。 発達障害のある社員Aさんには、仕事中に「顔にぶつかるくらいの勢いでペンを振る」、「目を強くこする」、「爪をかむ」などの行動が現れることがありました。第3回第3回活躍する活躍する障害者職業生活相談員障害者職業生活相談員 「障害者職業生活相談員」の活躍を紹介するシリーズ。第3回は、在籍する障害者のうち、発達障害の割合が高い部署で働く相談員の方に、発達障害のある社員とのかかわり方や、障害のある社員本人も気づいていない可能性を見出し、それを伸ばして業務に活かすまでのサポートについて、うかがいました。クローズクローズアップアップ相談員の青野康子さん職場のサポート体制理由を伝え、納得すれば行動が変わる支援のポイント26

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